NVIDIAが2025年1月のCES(Consumer Electronics Show)において、次世代GeForce RTXシリーズを発表する可能性が高まっている。この情報は複数の信頼できる情報源から報告されており、かなり期待出来そうだ。
CES 2025におけるNVIDIA CEOの基調講演
NVIDIAの創業者兼CEOであるJensen Huang氏が、2019年以来6年ぶりとなるCESの基調講演を行うことが正式に発表された。この基調講演は2025年1月6日午後6時30分(現地時間)に予定されており、CESの開幕前日に行われる。
Consumer Technology Association(CTA)のCEOであるGary Shapiro氏は、「Jensen Huangをスピーカーとして迎えられることを大変嬉しく思います。Jensenは真のテクノロジー業界のビジョナリーです。彼の洞察と革新は世界を改善し、経済を向上させ、CESの聴衆に刺激を与えるでしょう」とコメントしている。
NVIDIAは毎年のCES基調講演でGeForce RTXシリーズを発表してきた。2025年の基調講演では、Huang氏が登壇することから、NVIDIAの次世代GPU「Blackwell」アーキテクチャを採用したGeForce RTX 5000シリーズの発表が予想されている。特に注目を集めているのは、ハイエンドモデルのRTX 5090、RTX 5080、そしてRTX 5070の3機種だ。
RTX 5090:驚異的なスペックと性能
GeForce RTX 5090は、Blackwellシリーズの最上位モデルとして登場する見込みだ。このGPUは、PG144/145-SKU30 PCBデザインを採用し、GB202-300-A1 GPUコアを搭載すると予想されている。
RTX 5090の主要スペックは以下の通りだ:
- CUDAコア: 21,760基(最大24,576基中)
- VRAM: 32GB GDDR7
- メモリインターフェース: 512-bit
- メモリ速度: 28 Gbps
- メモリ帯域幅: 1,792 GB/s
- TBP(Total Board Power): 600W
これらのスペックは、現行のRTX 4090と比較して大幅な性能向上が期待出来るものだ。特に注目すべきは、GDDR7メモリの採用とメモリ帯域幅の大幅な向上だ。また、L3キャッシュの拡大や新しいメモリ圧縮技術の導入により、実効的な帯域幅はさらに向上すると見られている。
Founders Editionモデルは2スロット設計を採用するとの噂もあるが、600WというTBPを考慮すると、冷却設計には大きな革新が必要になるだろう。
RTX 5080:最速のGDDR7を搭載
GeForce RTX 5080は、PG144/147-SKU45 PCBを採用し、GB203-400-A1 GPUダイを搭載する予定だ。このモデルは、GB203 GPUダイのフルスペックを活用し、以下のような仕様になると予想されている:
- CUDAコア: 10,752基
- VRAM: 16GB GDDR7
- メモリインターフェース: 256-bit
- メモリ速度: 32 Gbps(最新の情報では28 Gbpsから上方修正)
- メモリ帯域幅: 1,024 GB/s
- TBP: 400W
RTX 5080は、RTX 5090と比較するとCUDAコアの数が大幅に少ないものの、メモリ速度が32 Gbpsに引き上げられたことで、帯域幅は現行のRTX 4090と同等の1 TB/sを実現している。この仕様が正確であれば、RTX 5080は現行のRTX 4090よりも高速で、かつ消費電力が低い可能性がある。
ただし、TBPが400Wに増加していることから、現行のRTX 4080から25%の増加となる。ただし、実際のゲーミング時の消費電力は、この数値よりも大幅に低くなると予想される。
RTX 5070:控えめな12GB VRAMが吉と出るか凶と出るか
GeForce RTX 5070は、GB205 GPUを搭載し、PG147リファレンスPCBを採用する予定だ。このモデルの詳細な仕様はまだ明らかになっていないが、以下のような特徴が報告されている:
- VRAM: 12GB GDDR7
- メモリインターフェース: 192-bit
- メモリ速度: 28 Gbps
- メモリ帯域幅: 672 GB/s
- TBP: 250W
RTX 5070のメモリ構成は、現行のRTX 4070と同様の12GB/192-bitを維持しているが、GDDR7メモリの採用により帯域幅が33%増加している。これは、RTX 4070およびRTX 4070 SUPERと比較して大きな進歩だ。
TBPは250Wとなり、RTX 4070 SUPER(220W)から14%の増加となっている。しかし、12GBというVRAM容量に関しては、一部のユーザーから批判の声が上がる可能性がある。
新シリーズの技術革新とゲーミング業界への影響
GeForce RTX 5000シリーズには、いくつかの重要な技術革新が導入される予定だ。これらの革新は、ゲーミング体験に大きな影響を与える可能性がある。
まず、PCBの製造プロセスに関して、NVIDIAは新しいバックドリル処理を採用するとされている。これは14層のPCBにおいて、GPUとGDDR7 VRAM間の信号整合性を改善するための技術だ。この改善により、高速なメモリ性能を安定して発揮できるようになると期待されている。
また、電源コネクタに関しても進化が見られる。基本的には全モデルが単一の12V-2×6電源コネクタ(通称16ピンコネクタ)を採用するが、一部のハイエンドRTX 5090モデルや一部のRTX 5080モデルでは、デュアル16ピンコネクタを採用する可能性がある。これは、極めて高い電力要求に対応するためだと考えられる。
さらに、RTX 5000シリーズは完全なPCIe 5.0互換性を持ち、DP2.1aをサポートする予定だ。特にDisplayPort 2.1aの完全な80 Gbps帯域幅サポートは、高解像度・高リフレッシュレートのゲーミングモニターとの組み合わせで、より滑らかで美しいゲーム体験を提供することが期待される。
加えて、NVIDIAはゲーミング向けの次世代AI技術を発表する予定だとされている。この新技術は「大きな驚き」をもたらすとの情報もあり、ゲーミング体験をさらに向上させる可能性がある。
RTX 5000シリーズの価格は?
GeForce RTX 5000シリーズの登場は、ハイエンドGPU市場に大きな影響を与えることが予想される。特に、AMDが今回ハイエンド市場での競合を見送る方針を示していることから、NVIDIAは価格設定において大きな自由度を持つことになるだろう。
RTX 5090は、その圧倒的な性能から非常に高価格になると予想される。一部では3,000ドル以上との予想もあり、日本では50万円を超える価格での販売も考えられる。また、スケーラーやボットによる買い占めの懸念もあり、発売初期には入手困難な状況が予想される。
RTX 5080とRTX 5070に関しては、現行モデルと同等のVRAM容量を維持していることから、価格が高すぎる場合にはユーザーからの批判が予想される。以前の情報では、RTX 5080は1,000ドル程度に落ち着くのではとの噂もあり、現行モデルと同等程度を期待したい。NVIDIAがこれらのGPUをどのように価格設定するかは、市場の反応を大きく左右する要因となるだろう。
また、NVIDIAはAda Lovelaceアーキテクチャで採用した戦略、つまり最上位モデルと他のモデルの間に大きな性能差を設けるという方針を、Blackwellアーキテクチャでも踏襲する可能性が高い。これにより、将来的に「SUPER」バージョンを投入する余地を残していると考えられる。
しかし、消費電力の増加は懸念材料の一つだ。特にRTX 5090の600WというTBPは、家庭用電源や冷却システムに大きな負担をかける可能性がある。NVIDIAがこの課題をどのようにクリアするのか、注目される。
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