MicrosoftやMeta、AWSなどの大手テクノロジー企業が支援するOverture Maps Foundationが、初のオープンマップデータセットを一般公開した。この動きは、オンライン地図分野におけるGoogleの独占的な地位に対抗し、次世代の相互運用可能な地図サービスの実現を目指す重要な一歩となる。
Overture Maps Foundationの取り組みと公開データの詳細
Overture Maps Foundationは2022年12月に設立された非営利団体で、Linux Foundationがホストを務めている。同団体は4月にオープンデータセットのベータ版をリリースしていたが、今回は一般公開(GA)という形でのリリースだ。ここでは、以下の4つの主要なデータセットが提供される:
- 建物(Buildings):世界中の23億の建物の外形データを含む。
- 注目地点(Places of Interest):約5400万の世界中の注目すべき場所のデータを提供。
- 行政区分(Divisions):40以上の言語に翻訳された国や地域の行政境界データ。
- 基本地図(Base):土地や水域のデータを含む文脈的なレイヤー。
これらのデータセットは、視覚的な地図作成や空間分析など、幅広い商業的地図アプリケーションや地理空間分析に活用できる。また、一貫した方法でアクセス可能な文書化されたスキーマで提供されるため、開発者は自身のアプリケーションで容易に利用できる。
Overture Maps Foundationの執行役員であるMarc Prioleau氏は次のように述べている:「このGAリリースのデータは、すでに地域の発見、保険、地図産業におけるユースケースを支えており、今後数ヶ月の間に自動車から配車サービスに至るまで、さらに多くの産業からのユースケースが期待されます」。
さらに、新たに「住所」テーマのアルファ版も公開された。この初期リリースには14カ国の2億以上の住所が含まれており、世界中の住所データに対応できるスキーマの進化を目指している。
加えて、住所データとともに、Overtureはデータセットの探索とダウンロードを容易にするための視覚化ツールも追加した。 このツールは継続的に改善されるよう、フィードバック・ループが構築される。
Overture Maps Foundationの独自性は、Global Entity Reference System(GERS)を通じて外部データを基本地図に付加できる点にある。これにより、データの一貫性と正確性が向上し、より迅速な地図への追加が可能となる。
Microsoft、Meta、Esri、TomTomなどの主要メンバーは、すでにOvertureのデータセットを自社のサービスや製品に組み込み始めている。例えば、MicrosoftのBing Maps、EsriのArcGIS Living Atlas of the World、Addresscloudの保険サービスプラットフォームなどで活用されている。
この取り組みは、オープンな地図データの開発を主導し、次世代の地図製品を支える基盤を提供することで、幅広い商品やサービスの可能性を広げることを目指している。Overture Maps Foundationは、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、継続的な改善を図っていく方針だ。
Sources
- Overture Maps Foundation: Overture Maps Foundation Releases General Availability of its Open Maps Datasets
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