PlayStation 6(PS6)の開発が予想以上に進展していることが、複数の信頼性の高い情報源から明らかになった。特に注目すべきは、システムオンチップ(SoC)の設計が既に完了し、プリシリコン検証段階に入っているという点だ。
次世代アーキテクチャと製造プロセスの革新
AMDのリーカーとして知られるKepler L2氏によると、PS6向けSoCは設計が完了し、現在プリシリコン検証フェーズに入っているという。A0テープアウトは2025年後半に予定されており、これはSonyの通常の開発サイクルから推測すると、2027年の製品発売を示唆する物と言えるようだ。
今回注目すべき情報としては、PS6の中核を担うGPUについての進展がある。以前報告されたAMDに関するリークによると、同社は2026年に向けて大規模なアーキテクチャの統合を計画している。これまで別々の製品ラインとして開発されてきたRDNA(ゲーミング向けGPU)とCDNA(データセンター向けAIアクセラレータ)が、UDNAという新たな統合アーキテクチャへと生まれ変わる。PS6のGPUは、このUDNAアーキテクチャ(旧RDNA 5として知られていた「gfx13」)の初期フォークをベースにして開発が進められているとのことだ。
製造プロセスについては、TSMCのN3Eプロセスノードの採用が予定されている。これはAMDの次世代Zen 6アーキテクチャのCPUタイルと同じプロセスノードだ。一方、I/Oダイについては、コスト効率を考慮してN4Cプロセスノードが採用される見込みである。この製造プロセスの選択は、AMDの伝統的な戦略である「最先端から一歩引いた製造プロセスの採用」と一致している。
また、PCゲーマーにはお馴染みの3D V-cacheテクノロジーがPS6で採用される可能性も浮上している。この技術は既にAMDのデスクトップCPUで実績があり、大容量のキャッシュメモリを垂直方向に積層することで、メモリアクセス性能を大幅に向上させるものだ。Sonyがこの技術をPS6に採用する計画があることが報じられており、これが実現すれば、ゲーム性能、特にオープンワールドゲームでのアセットロード時間の短縮や、高解像度テクスチャの処理能力向上に大きく貢献する可能性がある。
この新アーキテクチャは、性能面でNVIDIA RTX 4090を上回る能力を持つとされているが、最新のRTX 5090には及ばない見込みだ。これはAMDが採用している、コスト効率を重視した現実的なアプローチを反映している。つまり、絶対的な性能よりも、価格対性能比を重視した設計思想が垣間見える。
このような技術選択は、次世代ゲーム機に求められる高度なグラフィックス処理能力と、AI処理の統合という時代の要請に応えるものだ。特にUDNAアーキテクチャの採用は、従来のゲームグラフィックス処理に加えて、AI機能の統合も視野に入れた戦略的な選択と考えられる。
今後の展望と市場への影響
PS6の開発進捗は、業界の予想を上回るペースで進んでいるようだ。Kepler L2氏が指摘するように、2025年後半に予定されているA0テープアウトから製品発売までのタイムラインを考慮すると、2027年の市場投入が現実的なシナリオとして浮上している。これはSonyの過去のコンソール開発サイクルとも一致しており、信憑性の高い見通しといえる。
ただし、課題も存在する。半導体産業の製造能力や、グローバルサプライチェーンの状況は、依然として不確実性を抱えている。また、高性能化に伴う製造コストの上昇は、最終的な製品価格にも影響を及ぼす可能性がある。Sonyにとって、これらの課題をいかにバランス良く解決し、競争力のある製品として市場に投入できるかが、今後の重要な検討課題となるだろう。
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