Samsung Electronicsが、日本のAI企業Preferred Networks向けに最先端の2nmプロセスを用いたAIチップの製造を行うことを発表した。この契約については以前より非公式ながら報じられており、憶測も生む物だった、今回公式にSamsungから発表されたことで、そうした憶測も払拭され、より具体的な詳細が明るみになった形だ。
Samsung、2nm GAA技術でAIアクセラレータ市場に進出
Samsungは、2nmプロセスノードとGate-All-Around(GAA)トランジスタアーキテクチャを採用した最先端の半導体製造技術を用いて、Preferred Networks向けのAIアクセラレータチップを製造する。さらに、複数のチップを1つのパッケージに統合する2.5D先進パッケージング技術「Interposer-Cube S(I-Cube S)」も提供するとのことだ。
この総合的なソリューションにより、Preferred Networksは高性能かつエネルギー効率の高いAIアクセラレータの開発を目指している。特に、大規模言語モデルなどの生成AI技術による急増する計算需要に対応することが期待されている。
Preferred Networksの牧野淳一郎氏(Computing Architecture部門のVPおよびCTO)は次のように述べている。「Samsungの2nm GAAプロセスを用いたAIアクセラレータ技術をリードできることに興奮しています。このソリューションは、生成AI技術、特に大規模言語モデルからの急増する計算需要に応える、高度にエネルギー効率の良い高性能コンピューティングハードウェアを構築するPreferred Networksの継続的な取り組みを大きく支援するでしょう」。
一方、SamsungのTaejoong Song氏(Foundry事業部門のビジネス開発チーム責任者兼Corporate VP)は、「この受注は、Samsungの2nm GAAプロセス技術と先進パッケージング技術が次世代AIアクセラレータの理想的なソリューションであることを実証する重要なものです。当社の製品の高性能と低消費電力の特性が十分に実現されるよう、お客様と緊密に協力していきます」とコメントしている。
この協力関係は、Samsungにとって2nmプロセスノードの初の受注となる。同社は3nmプロセスノードの量産を業界で初めて開始した実績を持ち、GAAトランジスタアーキテクチャの技術リーダーシップを強化している。
チップの設計は韓国のGAONCHIPS社が担当し、Samsungが製造とパッケージングを行う。この総合的なアプローチにより、チップ間の相互接続速度の向上とパッケージサイズの縮小が実現される。
Preferred Networksは東京に本社を置き、AIチップからスーパーコンピュータ、生成AI基盤モデルまでAIバリューチェーンを垂直統合した先進的なソフトウェアおよびハードウェア技術を開発している。同社は製造、輸送、ヘルスケア、エンターテインメント、教育など様々な産業向けのソリューションを提供しており、過去5年間で3回もGreen500スーパーコンピュータリストで1位を獲得するなど、グローバルAI市場における主要プレイヤーの一つとなっている。
SamsungとPreferred Networksは、この協力関係を基に、次世代データセンターおよび生成AIコンピューティング市場向けの革新的なAIチップレットソリューションを今後展開していく計画だ。この提携は、急速に発展するAI市場において両社の技術力を結集し、新たな可能性を切り開くものとして注目されている。
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