2024年第2四半期、世界のスマートフォン市場が力強い回復を見せる中、SamsungがAppleを抑えてトップの座を維持した。市場全体が前年同期比12%増の成長を遂げる一方で、両社のシェアは縮小傾向にあり、競合他社の台頭が鮮明になっている。AI機能を搭載した新製品が市場を牽引する中、各社の戦略が注目を集めている。
市場回復とトップ企業の動向
市場分析会社Canalysの最新レポートによると、2024年第2四半期の世界スマートフォン出荷台数は約2億8,800万台に達し、前年同期比12%の成長を記録した。これは3四半期連続のプラス成長となり、2023年第3四半期の一時的な落ち込みから市場が力強く回復していることを示している。
トップ5の企業シェアは以下の通りだ:
- Samsung: 18%
- Apple: 16%
- Xiaomi: 15%
- vivo: 9%
- TRANSSION: 9%
注目すべきは、Samsungが2四半期連続でAppleを上回り、トップの座を維持したことである。しかし、両社ともに前年同期と比較してシェアを落としており、Samsungは21%から18%へ、Appleは17%から16%へと減少している。
一方、XiaomiやVivo、TRANSSION(Techno、Itel、Infinixブランドを含む)といった競合他社の台頭が顕著となっている。特にXiaomiは前年比27%という高成長を遂げ、急速に市場シェアを拡大している。
市場の回復を後押ししているのが、新興国市場におけるインフレ緩和だ。Canalysのリサーチマネージャー、Amber Liu氏は次のように述べている:
「2024年初頭から、アジア太平洋、中東、アフリカ、ラテンアメリカの新興市場でインフレが緩和され、大衆市場価格帯での出荷増加を刺激しています。Xiaomiや TRANSSIONなどの企業は、これらの機会を活かすために積極的に製品のアップグレードを促進しています」。
一方で、ハイエンド市場では生成AIを活用した新機能が注目を集めている。SamsungのGalaxy S24シリーズに搭載された「Galaxy AI」が好評を博し、同社の出荷台数増加に貢献した。また、最近発表されたGalaxy Z Fold6とFlip6シリーズでもAI機能が強化され、フォルダブル端末市場での差別化を図っている。
Appleも今秋に「Apple Intelligence」と呼ばれるAI機能群の導入を予定しているが、一部報道によると完全な導入はiOS 18.1まで遅れる可能性があるという。しかし、同社は2024年だけで9,000万台のiPhone 16の生産を計画しており、市場シェア回復に向けた意気込みが感じられる。
Canalysのアナリスト、Sheng Win Chow氏は次のように分析している:
「SamsungとAppleは、GenAI機能を重要な焦点としてプレミアム製品戦略を急速に進めています。Samsungは最新のフォルダブルデバイスで、ソフトウェアイノベーションとフォルダブルフォームファクターを統合することで、ユーザーに差別化された価値を提供することを目指しています。一方、Appleはまだ新製品を発表していませんが、WWDCで近々登場する予定の新製品についての期待を高め、テクノロジーイノベーションにおける同社のリーダーシップを示すことになるでしょう」。
市場全体の回復と同時に、トップ企業間の競争が激化する中、各社のAI戦略と新製品展開が今後の市場シェアを左右する重要な要因となりそうだ。特に中国市場での競争激化や、HONORやOPPO(OnePlusを含む)といった企業のグローバル展開の動向にも注目が集まっている。2024年後半の展開が、スマートフォン市場の新たな勢力図を描くことになるかもしれない。
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