SanDiskは、PCIe Gen5の限界速度を達成しつつ、消費電力を7Wに抑えた新型SSDを発表した。2025年第2四半期に発売予定のこのドライブは、ゲーマーやOEMから高い評価を得ることが期待されている。
驚異的な速度と電力効率を両立
Western Digitalのフラッシュストレージ部門であるSanDiskは、先週開催された投資家向けイベントにて、2つの新たなSSDプラットフォームを発表した。一つは性能を追求したフラッグシップモデル、もう一つはバリューに焦点を当てたモデルだ。
SanDiskの新しいフラッグシップSSDは、PCIe Gen5インターフェースの限界に挑む製品だ。2TBモデルでは、シーケンシャルリード14,500MB/s、シーケンシャルライト14,000MB/sという驚異的な速度を実現。これはPCIe Gen 5インターフェースの性能を最大限に引き出すものと言えるだろう。
SanDiskは、HDD事業をWestern Digital、SSD/フラッシュストレージ事業をSanDiskとして再編。SanDiskブランドは、SSDとフラッシュストレージ専業メーカーとしての新たなスタートを切った。今回の発表は、その戦略を具体的に示すものとなる。

驚異的な速度と電力効率を両立
新型SSDの最大の特徴は、その電力効率の高さである。14GB/s超の高速性能でありながら、消費電力はわずか7Wに抑えられている。これは、現行のGen 4 SSDと同等レベルの消費電力だ。
高性能Gen 5 SSDの多くがピーク時に10W近い電力を消費することを考慮すると、SanDiskの新製品は群を抜く省電力性能を示すと言える。この低消費電力の要因は、Silicon MotionのSM2508コントローラにあると推測される。SM2508は、電力効率に優れたコントローラとして知られており、SanDiskの新型SSDに採用されていれば、この驚異的な電力効率も頷ける。
SanDiskのエンジニアリングおよび製品管理担当シニアVPであるKhurram Ismail氏は、「これは間違いなく業界最高の製品となるだろう。ゲーマーやOEMは、この製品を気に入るはずだ」と述べている。
この高性能TLC NANDプラットフォームは、既存のWD BlackゲーミングSSDファミリーにも採用される予定だ。新型SSDの容量は512GBから4TBまで幅広く、発売は2025年Q2を予定している。
QLC NANDとPCIe Gen 5への移行を加速
SanDiskは、バリュー重視のQLC NANDベースのSSDプラットフォームも発表した。こちらはPCIe Gen 4接続となるが、Western Digital PC SN5100Sなどの新製品が登場予定である。PC SN5100Sは、前世代のSN5000Sと比較して、ランダムリード速度が53%、ランダムライト性能が44%向上している。
SanDiskは、QLC NANDの採用を積極的に進める方針も明らかにした。QLC NANDは、TLC NANDに比べて寿命は短いものの、高密度なストレージを実現可能だ。SanDiskは、2028年までにストレージ製品の75%をQLC NANDに移行し、大容量化を推進する計画である。
また、PCIe Gen 5への移行も加速させ、2028年までにPCIe Gen 4製品を段階的に廃止し、Gen 5への完全移行を目指すとしている。両プラットフォームともに、Western DigitalとKioxia(キオクシア)の最新BiCS8 3D NANDフラッシュを採用し、更なる性能向上を図る。
XenoSpectrum’s Take
SanDiskの新型SSDは、パフォーマンスと電力効率のバランスを新たな次元に引き上げる可能性を秘めている。特に、7Wという低消費電力は、モバイルデバイスや省電力PCにとって大きな魅力となるだろう。また、QLC NANDの積極的な採用は、SSDの大容量化と低価格化を加速させる可能性がある。
ただし、QLC NANDはTLC NANDと比較して寿命が短いという懸念もある。SanDiskがこの課題にどのように対処し、信頼性を確保するのかが注目される。
Sources
- Sandisk [PDF]
- via Tom’s Hardware: Sandisk’s upcoming PCIe 5.0 SSD fights throttling with 7W power
コメント