SK hynixは世界初となる1c(第6世代10nmクラス)プロセスを用いた16Gb DDR5メモリの開発に成功したことを発表した。10nm範囲のDRAM技術の縮小プロセスを進める難易度は世代を重ねるごとに増しているが、SK hynixは業界で初めて技術的限界を克服し、設計の完成度を高めることに成功したとのことだ。
新世代のメモリ技術がもたらす進化
SK hynixは、第5世代10nmプロセスである1b技術のプラットフォームを拡張することで、新たな1cプロセスの開発に成功した。この戦略により、プロセス微細化に伴う潜在的なエラーを最小限に抑えつつ、1b DRAMの優れた性能を効率的に引き継ぐことが可能となった。
新製品の特筆すべき点は、前世代と比較して大幅なコスト競争力の向上だ。これは極端紫外線(EUV)プロセスの一部に新素材を採用し、EUV適用プロセス全体を最適化したことによる成果とのことだ。さらに、設計面での技術革新により、生産性を30%以上向上させることにも成功した。
性能面では、1c DDR5メモリの動作速度が前世代から11%向上し、8Gbpsに達している。これは高性能データセンター向けの製品として期待出来るだろう。加えて、電力効率も9%以上改善されており、AIの時代の到来に伴う電力消費量の増加に対して、データセンターの電気代を最大30%削減できる可能性が示唆されている。
SK hynixは、この1c技術を2024年中に量産体制に乗せ、2025年から本格的な出荷を開始する予定だ。さらに注目すべきは、同社がこの先端技術をDDR5だけでなく、HBM(High Bandwidth Memory)、LPDDR6、GDDR7といった次世代の主要製品にも適用する計画を立てていることだ。
SK hynix DRAM開発部門の責任者であるKim Jonghwan氏は、「最高の性能とコスト競争力を兼ね備えた1c技術を主要な次世代製品に適用することで、顧客に差別化された価値を提供することを約束します。DRAM分野でのリーダーシップと、最も信頼されるAIメモリソリューションプロバイダーとしての地位を維持するために努力を続けていきます」と述べている
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