生成AIブーム特需によって、GPUやメモリ(HBM)の需要が急増していることは周知の事だが、実は大容量HDDの需要も押し上げられているようだ。そして需要の急増によって、HDD(ハードディスクドライブ)の供給不足が起き、価格が押し上げられているという。
データ・ストレージの最大手であるWestern Digitalは、HDDとSSDの両方が供給不足に陥っていることをすでに確認している。
Western Digitalのチャネル・地域OEM販売担当SVPであるScott Davis氏は書簡の中で、予想を上回る需要の結果、フラッシュとHDD製品について、今四半期中に値上げが行われ、一部の変更は直ちに実施されることを顧客に通知している。既に同社は12月に顧客に対し、2024年前半を通じてHDDの価格が跳ね上がることを予期するよう警告していた。
台湾を拠点とするTechNewsは、HDD市場全体の価格が最近上昇しており、2023年第3四半期から今年第1四半期にかけて10%から20%上昇していると指摘している。これは、AIを搭載したサーバーやデータセンターに使用される大容量ドライブの需要が高いためである。ただし、2TB以下の小容量ドライブは値下がりしているという。同誌は、今年第2四半期もHDDの平均価格は5%から10%程度上昇する見込みだと警告している。
世界経済が低迷し、大半の製品の需要が減少する中、HDDの価格暴落を食い止めようと、メーカー自身が2023年に20%の減産を行ったことも状況を悪化させた。しかし、AI分野ではより多くのHDDが必要となり、価格は安定するどころか上昇した。当然のことながら、各社は価格上昇の恩恵を受け続けたいため、通常の生産水準に戻すことを急いでいない。
AIデータセンターやサーバー向けの大容量HDD需要が伸びているということで、理論的には一般商消費者にとってはあまり影響がなさそうだが、価格コムなどを見てみると、一部の大容量消費者向けHDDには既に値上がりの傾向も見られている。
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