Valveはゲームプラットフォーム「Steam」のガイドラインを更新し、ゲーム内広告に依存するビジネスモデルを禁止する方針を明確化した。このポリシーは、プレイヤーに広告の視聴や操作を強制するゲーム、または広告との接触によって報酬を提供するゲームに適用される。
ゲーム内広告への依存を禁止
ValveはSteamworksのドキュメントに「Steamにおける広告」という新しいページを追加し、Steam上で許可される広告と禁止される広告の形式を明確に区別した。「サポートされないもの」の項目では、以下の行為が禁止されている:
- ゲームプレイを広告視聴の条件とするなど、有料広告をビジネスモデルとして利用すること
- 広告の視聴や操作に対して、ゲーム内アイテムやプレイ時間などの報酬を提供すること
- Steamの機能へのアクセス(セールページ、バンドル、ストアページなど)に対して、他の開発者から料金を徴収すること
Valveは、「ゲームのビジネスモデルが他のプラットフォームでの広告に依存している場合、Steamでリリースする前にそれらの要素を削除する必要がある」と明記している。代替案として、単一購入の「有料アプリ」への切り替え、またはマイクロトランザクションやDLCによるオプションのアップグレードを提供するFree-to-Playモデルを検討するよう提案している。
許可される広告形態
一方で、Steamでは、すべてのゲーム内広告が禁止されているわけではない。Valveは、「サポートされるもの」セクションで、以下の種類の広告モデルを許可している。
- プロダクトプレイスメント:ゲームプレイの文脈に適切で、邪魔にならない範囲での、実在するブランド、製品、人物などの描写(例:レースゲームでのスポンサーロゴ)
- クロスプロモーション:自社または他社のゲームを相互に宣伝するモデル(ただし、他の開発者に参加料を請求することは禁止)
- Steam外で行われる、Steamストアページへの有料広告キャンペーン
ポリシーの背景と目的
このポリシー自体は新しいものではなく、少なくとも過去5年間、Steamの価格設定ポリシーページで確認できるものだった。しかし今回、専用ページを設けることで、より明確に開発者に制限を伝え、モバイルゲームのような広告だらけのゲームがSteamに掲載されることを防ぐ狙いがある。FAQでは、以下のように記載されている:
- Steamは、他のゲーム、製品、サービスの広告を表示することによる有料広告や紹介/アフィリエイト収入をサポートしない
- 顧客がプレイを続けるために支払いをする必要があるモデルはサポートしない。無料デモを提供することは可能
Valveは、このポリシー更新の理由について明確には述べていないが、操作的なマーケティング手法を抑制し、Steamプラットフォームの品質を維持する意図があると分析している。近年、ゲーム業界では、サブスクリプショントラップ、ルートボックス、マイクロトランザクションといった収益化手法が普及しており、プレイヤーの注目をゲームプレイから金銭的支出やブランドロイヤリティに逸らすことが懸念されている。
ValveはSteamのモデレーションに関して、これまで比較的緩やかな姿勢を取ってきた。しかし、世界各国でこれらの手法に対する規制の動きが強まる中、Valveは先手を打つ形で今回のポリシー更新を実施した可能性がある。同社はこれまでも、NFTや暗号通貨を利用したゲームを禁止したり、生成AIを利用したゲームに対してはその使用を開示するよう義務付けたりするなど、PCゲームのあるべき姿について明確なビジョンを持っていることがうかがえる。
Sources
- Steam: Steamにおける広告
- via GamingOnLinux: Valve ban advertising-based business models on Steam, no forced adverts like in mobile games
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