AIブームが過熱し、投資が過剰になっているという警告が、大手ヘッジファンドから発せられた。一時の熱狂的なブームが過ぎ去り、人々が冷静になりつつある中で、AIに対する過度な期待と現実とのギャップを指摘するような報告が相次いでいるが、今回の警鐘は、特にNVIDIAの急騰する株価評価に疑問を呈し、AIアプリケーションの実用性と収益性に懸念を示すものとなっている。
AI技術の実用性と効率性に疑問
約700億ドルの資産を運用する大手ヘッジファンド、Elliott Managementが、AIおよびNVIDIAの現在の評価を「バブル」状態にあると指摘し、業界に警鐘を鳴らしている。Financial Timesの報道によれば、同社はAI投資の持続可能性に疑問を呈し、多くのAIアプリケーションが実用的でもコスト効率的でもないと主張している。
Elliott Managementは、大手テクノロジー企業によるNVIDIAのGPUの大量購入が継続しない可能性を指摘している。同社は、多くのAI技術の実用性と効率性に疑問を投げかけ、約束された収益を生み出さない可能性があると見ているようだ。
だが、こうした懸念はElliott Managementだけのものではない。Sequoia Capitalのパートナーは最近、AI業界が既に行われた投資を回収するためには、年間少なくとも6000億ドルの収益が必要だと試算している。しかし、現状ではAI業界の収益はその数字には遠く及ばない。
一方で、NVIDIAは7月初旬から約6000億ドルの時価総額を失っており、この事実はAI業界の不安定さを示している。半導体業界全体でも、支出の持続可能性に対する懸念から株価の下落が見られる。例えば、Intelは大規模な人員削減を発表後、株価が30%下落している。
Elliott Managementは、NVIDIAの業績が期待を下回った場合、市場の調整が起こり、AI業界全体への投資家の信頼が揺らぐ可能性があると警告している。また、多くのAI企業が非公開であるため、その財務的実行可能性を適切に評価することが困難であることも指摘している。
現時点でAIは、ノートの要約やレポートの生成、コーディング支援など、限定的なタスクにとどまっており、約束されていた大幅な生産性向上をもたらしていないとElliott Managementは述べている。
このように、AI業界の急速な成長と高い評価に対して、慎重な見方が広がりつつある。投資家や企業は、AIの長期的な実用性と収益性を冷静に評価し、過度の期待や投資を避ける必要があるかもしれない。
Source
- Financial Times: Elliott says Nvidia is in a ‘bubble’ and AI is ‘overhyped’
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