オープンソース命令セットアーキテクチャ(ISA)のRISC-Vは、市場で支配的な地位を固めるArmへの有力な対抗馬として、Googleなどの支援を受けて開発が進められている。
今回、このRISC-Vにおける新たな動きとして、Jon Peddie Researchが報じたように、X-SiliconはAI、HPC、2D/3Dグラフィックスタスクに対応可能なRISC-V VectorベースのGPU機能を備えたCPUコアである「C-GPUアーキテクチャ」を発表した。同社はこれによって、GPU設計に革命を起こすことを目指しているという。
この新しいRISC-VコアはGPUアクセラレーションとCPUコアを組み合わせることができる。CPU-with-GPU RISC-V ISAを採用しており、NanoTileアーキテクチャにより、同じハードウェアでAIアクセラレーションも可能だ。このチップは、多様なワークロードに対応できる多用途の主力として設計されており、効率の向上、低消費電力化、発熱の低減につながる。
X-Siliconは、2022年にサンディエゴで設立された、元AMD、Qualcomm、Intel、ATI Technologies、Dell出身のベテランエンジニアで構成される会社だ。彼らはGPUシェーダーコアの再発明を企図し、RISC-V VectorベースのC-GPUに着手した。このチップの特徴は、同じコア内でCPUとGPUのコードを独立して実行できる独自のアーキテクチャにあり、これによって従来のGPUが想定していなかった次世代ワークロードを効率的に計算できるのだ。そして、このチップは、少ないメモリフットプリントでタスクを実行し、ハードウェアレジスタに直接アクセスし、消費電力を抑えながら高性能で動作することができる。
X-Siliconは、最終的に高速かつ低消費電力性能を保証する新しいGPUアーキテクチャを通じて、「効率的なコンピューティング」市場に参入する計画だ。
C-GPUは、特許取得済みのNanoTileアーキテクチャを特徴としており、リアルタイム処理とグラフィカルレンダリングを組み合わせて、コンピュートリソースを効率的に管理する。さらに、NanoTileは、最適化されたデータフローにより、AI/MLアプリケーションに大きく貢献すると言われており、少なくとも紙面上では、現代のNPU製品に代わる有力な選択肢となる可能性がある。
X-Siliconは、同社のC-GPUアーキテクチャが将来的に大きな関心を集めると考えており、NanoTileとRISC-Vプラットフォームを通じて、メーカーにとって魅力的なパッケージを作成し、最終的に将来的な採用を増やすことを計画している。同社は、今後数カ月以内にSDKを独占パートナーに提供する予定だが、このアーキテクチャがいつ市場に登場するかは明らかにしていない。
Sources
- Jon Peddie Research: X-Silicon’s low-power, open-standard, Vulkan-enabled C-GPU
- via Tom’s Hardware: New RISC-V microprocessor can run CPU, GPU, and NPU workloads simultaneously
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