GoogleがAndroid 16に導入予定の新しい並列モジュールローディング機能により、Pixel 10のカーネルモジュール読み込み時間が30%短縮されることが判明した。この最適化は将来的に他のAndroidデバイスにも適用される見込みだ。
Android OSの起動プロセスに大幅な最適化
Android専門家のMishaal Rahman氏が、Android Open Source Project(AOSP)のコードレビューに「Parallel Module Loading: Add performance mode」というタイトルの変更を発見した。この変更では、Linuxカーネルのブート後に行われるカーネルモジュールの読み込み方法が改善されている。

Googleエンジニアによる記述では、この最適化によりPixel 10のモジュール読み込み時間が約30%削減され、2023年発売のPixel Foldでも25%の読み込み時間短縮が確認されたという。AOSPに明示的に未発売ハードウェアの名前が記載されることは稀だが、これがリーク以外でのPixel 10に関する初の公式言及となる。
技術的な仕組みと実際の恩恵
この最適化はAndroid OSの複数段階ある初期化プロセスの初期段階、具体的にはLinuxカーネルがロードされた後に行われる基本環境の設定に影響する。この段階では、カーネルの機能を拡張するために必要なカーネルモジュール(オンデマンドで読み込み・アンロード可能なコード)をロードする。
Googleが導入した変更は、これらのモジュールの読み込み方法を調整し、以前存在していたボトルネックを解消することで、読み込み時間の顕著な改善を実現している。ただし、この最適化は起動プロセスの一部にのみ影響するため、モジュール読み込み時間の30%削減が起動時間全体の30%短縮に直結するわけではない。ユーザーが体感できる起動時間の短縮幅は現時点では不明である。
全Androidデバイスへの波及効果
重要なのは、この変更がPixel 10に限定されたものではなく、Android 16のオープンソースコードベースに統合される予定であることだ。これにより、将来的にはGoogleのPixelシリーズだけでなく、すべてのAndroidベースのデバイスがこの最適化の恩恵を受けることになる。
既に一部のPixelスマートフォンで、ドライバの改善によってGPUパフォーマンスの向上も報告されているように、パフォーマンス向上のためには必ずしも高価なハードウェアが必要なわけではなく、オペレーティングシステムやアプリの最適化によっても大幅な速度改善が可能だ。Android 16を搭載したスマートフォンの再起動は、Android 15以前と比較して全体的にやや速くなると予想されている。
Googleは多くのシステムレベルの最適化を各Androidリリースで行っているが、それらが公表されることは稀である。今回のような舞台裏の変更が垣間見えることで、OSレベルでの継続的な改善努力の一端を知ることができる。
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