世界最大のファウンドリーであるTSMCが2024年第3四半期の法人説明会において、次世代2nmプロセスノードへの需要が現行の3nmを上回る見通しであることを明らかにした。同社の魏哲家董事長(会長)は、顧客からの2nmプロセスに関する問い合わせが3nmを上回る水準に達していると述べている。
予想を超える2nmプロセスへの期待
現在、TSMCの3nmプロセス出荷は2024年第3四半期の売上高の20%を占め、5nmプロセスは32%を占めているが、2025年に量産開始予定の2nmプロセスではこれらを上回る需要が見込まれている。
TSMCは2nmプロセスの強い需要に応えるため、新竹の寶山および高雄に建設中の製造施設において、それぞれ月産3万~3.5万枚のウェハー生産能力を計画している。さらに2027年までには、両施設を合わせた月間生産能力を10万枚以上に引き上げる計画を明らかにしている。
注目すべきは、同社が開発中のBSPDNである「Super Power Rail (SPR) 」を導入予定のA16プロセスについても、特にAIサーバー向けアプリケーションにおいて強い需要が見込まれていることだ。魏哲家董事長は、「A16のAIサーバーアプリケーションへの魅力は極めて高く、顧客需要に応えるべく関連する生産能力の準備を積極的に進めている」と述べている。
業界への影響と競合状況
市場関係者によると、TSMCの製程開発サイクルは3nmから2nmへの飛躍で3年間を要している。これは、より複雑化する半導体製造技術の開発に必要な時間が増加していることを示唆する物だ。
業界筋によれば、Apple、NVIDIA、AMDなどの主要顧客が2nmプロセスの第一陣として名を連ねており、これらの企業による高性能チップの製造需要が2nmプロセスの採用を加速させると予測されている。
しかし、競合のSamsungも2nmプロセスの生産開始に向けて動き出しており、さらに1.4nmノードの開発も進めている。加えて、Intelとのファウンドリー同盟を模索しているとの報道もあり、両社が協力して次世代プロセスの開発に乗り出す可能性もあり、今後数年間の両社の競争が注目される。
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