米Binden政権が半導体技術開発の新たな一手を打ち出した。ニューヨーク州オルバニーに8.25億ドル規模の次世代半導体研究施設を設立する計画を発表した。最先端プロセッサの製造に不可欠なEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術の研究開発拠点として、米国の半導体サプライチェーン強化を目指す。
国家戦略として整備進むEUV研究開発体制
新施設となる「CHIPS for America Extreme Ultraviolet(EUV)Accelerator」は、National Semiconductor Technology Center(NSTC)の旗艦拠点として位置付けられる。注目すべきは、既にIBMの半導体研究施設が稼働している Albany NanoTech Complexに併設される点である。165万平方フィート超の広大な敷地を有する同地区は、産学官連携の新たなイノベーションハブとしての機能強化が期待される。
運営は非営利組織のNY CREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology, Engineering, and Science)が担当。米国CHIPS法に基づく50億ドルの研究開発・人材育成予算から、8.25億ドルが充当される。
次世代EUV開発で世界の半導体地図を塗り替えへ
「この施設は、米国がイノベーションと半導体研究開発のグローバルリーダーとしての地位を確固たるものにする重要なマイルストーンとなる」と、Gina Raimondo商務長官は意気込みを示す。
注目すべきは、最新鋭のEUVリソグラフィ装置の導入タイムラインが明確化された点である:
- 2025年:第一世代EUV装置の稼働開始
- 2026年:より高度なHigh-NA EUV装置の導入
現在、High-NA EUV装置の製造はオランダASML社が世界で独占している。1台約4億ドルという高額装置の導入により、プロジェクト予算の過半がASML社に流れる構図だ。しかし、Natcast CEO の Deirdre Hanford氏は「NatcastとNSTCメンバーに不可欠なリソグラフィツールとプロセスへのアクセスを提供し、次世代技術の商業化を加速する」と、投資効果に太鼓判を押す。
この動きは、より広範な文脈で捉える必要がある。商務省は前日、「最先端AI技術と自律実験技術」を活用した次世代半導体製造技術の開発に向け、別途1億ドルの助成プログラムを発表している。20-40百万ドル規模の研究助成が、大学や研究機関に分配される予定だ。
今回の計画は直ちに結果が得られるような類いの物ではない。EUV技術の国産化には数年から数十年規模の時間軸が想定され、短期的な成果を期待することは現実的ではないからだ。しかし、「次の10年」を見据えた米国の半導体戦略において、本計画が重要な礎石となることは間違いないだろう。
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