Intelが、イスラエルの研究開発(R&D)センターで数百人規模の人員削減を実施することが明らかになった。この動きは、同社が先日発表した2024年第3四半期における166億ドルの四半期損失を受けたものである。
イスラエルR&D部門の重要性と削減の影響
Intelは1974年からイスラエルで事業を展開しており、現在では約11,700人の従業員を抱える重要な拠点となっている。このうちR&D部門には約7,800人、製造部門には約3,900人が所属している。同社のイスラエルR&D部門は、ハイファ、ペタティクバ、エルサレムの3つのセンターで構成され、それぞれが重要な技術開発の役割を担っている。
ハイファセンターはCPU、AIハードウェア、ソフトウェアの開発を手がけ、ペタティクバセンターは通信およびAIソリューションの開発に特化している。エルサレムセンターでは通信、ソフトウェア、サイバーセキュリティ分野の研究開発が行われている。これらのセンターは、IntelのBanias、Yonah/Merom、Nehalemといった革新的なマイクロアーキテクチャを生み出してきた実績を持つ。
特筆すべきは、Baniasプロセッサの開発だ。このプロセッサは、Intelが初めてノートPC向けに特化して開発したCentrinoプラットフォームの中核として、モバイルコンピューティング市場に革命をもたらした。また、Yonah/Meromは、消費電力の高いNetburstマイクロアーキテクチャに代わる新たな選択肢として、Intelのハイパフォーマンスコンピューティング市場での地位を回復させる重要な役割を果たした。
競合他社による積極的な人材獲得
今回の人員削減に際して注目されるのは、NVIDIAをはじめとするテクノロジー企業による積極的な人材獲得の動きである。2024年に入ってからだけでも、少なくとも30名のIntel従業員がNvidiaのヨクネアムおよびテルアビブオフィスに転職している。LinkedInのプロフィール分析によると、この数は60名から90名に及ぶ可能性があり、今後の人員削減に伴ってさらに100名程度まで増加する見込みである。
NVIDIAは魅力的な待遇パッケージを提示することで、優秀な人材の獲得を進めている。例えば、ジュニアハードウェアエンジニアの年間給与は約151,500ドルで、これはIntelの同ポジションと比較して約33%高い水準となっている。さらに、年間15,045ドル相当からのストックオプションも提供されており、Intelと比較して大幅に価値の高い株式報酬となっている。
イスラエルでのIntelの今後
この人員削減の動きは、Intelのイスラエルでの事業展開に新たな局面をもたらしている。2024年6月には、同社がキリヤットガットでの250億ドル規模の半導体製造工場建設を延期することを発表している。この計画は、イスラエル政府から32億ドルの補助金を確保していたにもかかわらず、「事業環境、市場動向、責任ある資本管理」を理由に保留となった。
しかし、製造部門の従業員は今回の人員削減の対象外とされており、これはキリヤットガットのFab 38完成に向けた準備を継続する意向を示している。Intelは「イスラエルは引き続き、当社のグローバルな製造およびR&Dの重要拠点の一つであり、この地域への取り組みは変わらない」とコメントしている。
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