次世代GeForce RTX 5000シリーズ(開発コードネーム:Blackwell)の発売が迫るなか、主要サプライヤーが製造準備を本格化させている。冷却ソリューションメーカーのAuras Technologyは、12月から市場が大きく動き出すと予測している。
サプライチェーンの動向が示唆するGeForce RTX 5000シリーズの発売時期
台湾の冷却システムメーカーAuras Technologyは、11月13日の決算説明会において、次世代GeForce RTX 5000シリーズ向けの重要なコンポーネントがすでにNVIDIAの公式サプライチェーンに組み込まれていることを明らかにした。具体的には、同社が開発したコールドプレートとマニフォールドが、NVIDIAの推奨サプライヤーリストに正式採用され、複数のAIBパートナーによってすでに採用が決定されている。
同社のYu-Shen Lin会長は「12月から市場を席巻する」という強気の発言を行っているものの、この時期はあくまでも部品供給の開始時期を示唆するものとみられる。実際の製品発売については、業界関係者の間では2025年1月に開催される世界最大の家電見本市CESに合わせて行われるという見方が強まっている。これを裏付けるように、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏がCES 2025の基調講演者として選出されており、この場で次世代GPUの発表が行われる可能性が極めて高い。
Aurasは2025年の見通しについても言及しており、同社全体で50%を超える成長を見込んでいる。この強気な成長予測を実現するため、同社は中国、台湾、タイに加え、メキシコでの製造施設の拡充も検討している。この生産能力の拡大は、次世代GPUの大量生産体制を見据えた戦略的な動きと解釈できる。サプライチェーンのこうした動きは、NVIDIAが従来以上の規模で次世代GPUの製品展開を計画していることを示唆している。
RTX 5090は450W超か?対応する冷却技術の開発も進められている
NVIDIA GeForce RTX 5000シリーズの電力消費は450ワットを超えると予測されており、これは前世代のGPUと比較してさらに高い熱処理能力が要求されることを意味している。この課題に対応するため、Auras Technologyは革新的な冷却ソリューションの開発を進めているようだ。同社が提供する次世代のコールドプレートとマニフォールドは、この前例のない熱設計要件に対応するために特別に設計されているとのことだ。
冷却技術の需要は複数の市場セグメントで急速な成長が見込まれている。Aurasの予測によれば、ディスプレイカード冷却部門では2桁の成長が期待されており、特にAIサーバー向け水冷システムの需要は前年比130%という劇的な増加が見込まれている。この予測は、高性能コンピューティング市場全体で進行している電力消費の増加トレンドを反映している。
同社は従来の空冷に加えて、より効率的な熱処理が可能な水冷ソリューションの採用も視野に入れている。これは特に、電力消費が450ワットを超えるハイエンドモデルにおいて重要となる。高い熱処理能力を持つ冷却システムの採用は、GPUの持続的な高性能動作を可能にするだけでなく、システム全体の信頼性と寿命にも直接的な影響を与える重要な要素となっている。
このような高度な冷却技術への需要増加に対応するため、Aurasは生産能力の拡大を計画している。既存の中国、台湾、タイの製造拠点に加えて、メキシコでの新規製造施設の設立を検討しており、これによってグローバルな供給体制の強化を図る方針だ。
Xenospectrum’s Take
時期的にJensen Huang氏がCES 2025の基調講演者に選ばれていることは、極めて示唆的だ。450W超という電力消費は、パフォーマンス向上と引き換えに、熱設計という新たな技術的課題を浮き彫りにしている。また、PC Partnerの本社移転は、半導体業界における地政学リスクの現実を如実に物語っている。来年のGPU市場は、技術革新と国際政治の狭間で、かつてない激動の時期を迎えることになるだろう。
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