Rapidus株式会社が、北海道・千歳市の次世代半導体製造施設において、ASMLの「TWINSCAN NXE:3800E」EUVリソグラフィ装置の搬入・設置作業を開始した。日本の半導体製造における歴史的な一歩となる今回の導入は、2nmプロセスノード実現への重要なマイルストーンとなる。
最先端EUVリソグラフィ技術の導入
Rapidusが導入するASML製EUVリソグラフィ装置は、2nmプロセスノードの量産に対応した最新鋭システムである。従来の193nmのArF液浸露光技術と比較して、はるかに短い13.5nmの波長を使用するEUVリソグラフィは、次世代のGAA(ゲートオールアラウンド)構造を実現するための核心的な技術となる。
TWINSCAN NXE:3800Eは、反射型フォトマスクとミラーレンズを採用した光学系を特徴とし、位置合わせとスキャンを独立したステージで実行するTWINSCANプラットフォームを搭載している。この革新的な設計により、極めて微細な回路パターンの形成と高い生産性の両立を実現している。
IIM-1施設の戦略的重要性
Rapidusの施設計画の中核となるIIM-1(Innovative Integration for Manufacturing)は、2025年4月のパイロットライン稼働開始を予定している。同施設では、EUVリソグラフィ装置を含む最先端の製造装置群と完全自動化された搬送システムを導入し、新たな半導体ファウンドリーサービス「RUMS(Rapid and Unified Manufacturing Service)」の構築を進める。
特筆すべきは、全工程において枚葉プロセスを採用する点である。この決定は、より精密な製造管理と高い歩留まりの実現を目指したものと見られる。
Xenospectrum’s Take
今回のEUVリソグラフィ装置導入は、Rapidusの技術的野心と実行力を示すものだ。
しかし、真の課題はこれからだ。2nmプロセス技術の習得、歩留まりの向上、そして持続可能な事業モデルの確立など、乗り越えるべきハードルは依然として高い。日本の半導体産業復活の象徴となることが期待されるRapidusだが、その成否は今後18ヶ月の取り組みにかかっているといっても過言ではない。
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