AMの幹部が、今月発表された次世代フラッグシップCPU「Ryzen 9 9950X3D」および「Ryzen 9 9900X3D」のゲーミング性能について、現行の人気モデル「Ryzen 7 9800X3D」と同等レベルになるとの見解を示した。この予想外の発表は、ハイエンドゲーミングCPUを求めていたユーザーにとって大きな落胆となりそうだ。
予想を覆す性能比較の詳細
AMD製品・事業開発マネージャーのMartijn Boonstra氏は、VideoGamerとのインタビューで、新製品の実性能について具体的な言及を行った。同氏によると、新型のRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dは、「全体的なゲーミング性能において9800X3Dと同様のパフォーマンスを提供する」という。
特筆すべきは、ゲームタイトルによって性能差が生じる可能性についての言及だ。Boonstra氏は「より多くのコアとスレッドを活用できるゲームエンジンでは若干のパフォーマンス向上が見られる一方、シングルCCD構成を好むゲームでは逆に性能が低下する可能性がある」と説明しており、Ryzen 9 9950X3Dが逆に性能でRyzen 7 9800X3Dに劣る可能性すら示唆しているのだ。
スペック比較から見える真実
表面的なスペックを比較すると、新型モデルは明確な優位性を持っているように見える。Ryzen 9 9950X3Dは16コア32スレッド、最大ブーストクロック5.7GHzを誇り、Ryzen 9 9900X3Dも12コア24スレッド、5.5GHzと、8コア16スレッド、5.2GHzの9800X3Dを大きく上回る。
しかし、この数値の優位性が必ずしもゲーミング性能の向上に直結しない理由として、以下の要因が挙げられる:
- 現代のゲームエンジンの多くが8コア程度までの利用に最適化されている
- シングルCCD構成の9800X3Dが特定のゲームで有利に働く
- TDP(熱設計電力)が9950X3Dで170Wと、120Wの9800X3Dから大幅に増加
市場への影響
新型モデルの価格については未だ公式発表がないものの、業界筋によると9950X3Dが729ドル、9900X3Dが629ドルになるとの見方が強い。これに対し、9800X3Dの現行価格は479ドルであり、性能差を考慮すると、新型モデルの価格競争力に疑問が投げかけられている。
一方で、AMDは新型モデルについて、IntelのCore Ultra 200Sシリーズと比較して40種類の人気ゲームで平均20%の性能優位性があると主張している。また、写真編集などのクリエイター向けワークロードでは、Core Ultra 9 285K比で約10%の性能向上を実現したとしている。
このことから、新型モデルはゲーマーというよりも、ゲーミングも行うクリエイターやプロフェッショナルユーザーをターゲットとしている可能性が高い。現在品薄状態が続いている9800X3Dの供給不足解消という側面からも、新モデルの市場投入の意義は大きいと言える。
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