Samsungが次世代プロセッサExynos 2500の開発を継続していることが明らかになった。Galaxy S25シリーズでの採用は見送られたものの、次期フォルダブルスマートフォンGalaxy Z Flip 7への搭載が計画されているとの情報がリーカーから新たに報告されている。
Exynos 2500の詳細仕様が明らかに
著名リーカーの@Jukanlosreveによって公開された情報によると、Exynos 2500は10コアCPUを採用し、最新のARM設計に基づくプロセッサを搭載している。主要な仕様として、3.3GHzで動作するCortex-X925を1基、2.75GHzで動作するCortex-A725を2基、2.36GHzで動作するCortex-A725を5基、そして1.8GHzで動作するCortex-A520を2基搭載しているとのことだ。
GPUには、AMDとの協業で開発されたXclipse 950を採用。RDNA 3.5アーキテクチャを採用し、1.3GHzで動作する8基のWorkgroup Processors(WGPs)を備えている。さらに、16MBのL3キャッシュ、9.6Gbpsの16ビットクアッドチャネルLPDDR5Xメモリ対応、UFS 4.0ストレージサポートなど、最新の仕様を採用している。
更に、Exynos 2500は56TOPSのNPU性能を実現し、AI処理能力の大幅な向上を図っているとのことだ。そして、320MPカメラセンサーのサポートや8K 30fpsの動画エンコード能力を備えており、次世代のモバイル撮影体験を提供することが期待される。
製造プロセスの課題
Exynos 2500は、Samsung Foundryの3nmプロセス(SF3)で製造される予定であるが、この製造プロセスの歩留まりの問題は依然として大きな課題となっている。実際に、Galaxy S25シリーズへの採用を見送る決定的な要因となったとされる製造上の課題は、現在も完全な解決には至っていない。歴史的に見ても、SamsungのプロセスはTSMC(MediaTekやQualcommが採用)と比較して効率性とパフォーマンスで劣る傾向が指摘されており、この技術的なギャップの克服が急務となっている。
特に注目すべき点は、Galaxy Z Flip 7のような折りたたみ式スマートフォンへの搭載を想定した場合の熱設計と電力効率である。折りたたみ式デバイスは通常のスマートフォンと比較して放熱設計により厳しい制約があり、プロセッサの性能を最大限に引き出すことが技術的に困難とされる。この課題に対して、Samsungは製造プロセスの最適化と共に、デバイス固有の熱設計にも注力している模様だ。
さらに、市場戦略の観点からも興味深い展開が予想される。Exynos 2500をGalaxy Z Flip 7に採用することで、Samsungは製造コストの最適化を図りながら、高性能なフォルダブルスマートフォンを提供できる可能性がある。ただし、現行のSnapdragon 8 EliteやDimensity 9400との性能差は無視できない要素となる。特に、AIワークロードやゲーミング性能において、競合チップとの性能差が市場での評価を左右する可能性が高い。
市場アナリストの間では、Samsungがフォルダブルスマートフォン市場でのシェア拡大を図る上で、独自チップセットの採用は重要な戦略的意義を持つとの見方が強まっている。自社製チップセットの採用により、ハードウェアとソフトウェアの統合最適化が可能となり、独自の差別化要因を生み出せる可能性がある。また、サプライチェーンの多様化という観点からも、Qualcommへの依存度を下げることは長期的な競争力の維持に寄与すると考えられる。
ただし、これらの展望は製造プロセスの改善が前提となる。仮に歩留まりの問題が解決されない場合、限定的な生産量しか確保できず、結果として高価格帯モデルへの搭載に留まる可能性も否定できない。Samsungにとって、Exynos 2500の成否は単なるチップセットの性能だけでなく、半導体製造技術の競争力を示す重要な指標となることは間違いない。
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