以前は圧倒的な力を持っていたSamsungの半導体部門はここ数年不振が伝えられることが多い。最も印象的だったのはGalaxy S22のExynosチップや、QualcommのSnapdragon 8 Gen 1チップの発熱であり、後者はQualcommがSamsungを見限ることにも繋がったと言われている。
そして今回、Reutersによって伝えられたのは、Samsungの製造するHBM(High Bandwidth Memory)チップが熱と消費電力の問題によりNVIDIAの設定したテストをクリアできなかったと言う新たな問題だ。
SamsungはAI特需の波にまだ乗れていない
Reutersがこの件に詳しい内部の情報筋から得た独占報道によれば、SamsungのHBM3チップはNVIDIAの社内テストに合格できていないという。これはつまりNVIDIAのAI GPUと組み合わせる「GH200」Super chipやAIサーバー内での使用が認められないと言う事になり、AI需要で相次いでHBMのバックオーダーを抱えているMicronやSK hynixなどの競合他社に後れを取っていることを意味するものだ。
熱と消費電力の問題はHBM3のみならず、数ヶ月前にSamsungが発表したばかりの新型HBM3Eチップにも同様の問題が見られるという。
SamsungがNVIDIAが課すHBMチップのテストに関して、これにつまずいているという報道は以前からあったが、今回その理由が初めて報じられた形だ。
Samsungの8層および12層のHBM3Eチップの問題は2024年4月に露見したようだ。SamsungのHBM3チップが問題を抱え失敗しているのを尻目に、SK hynixは2024年3月にNVIDIAにHBM3Eチップの供給を開始したという。
HBMは、2013年に初めて製造されたDRAM規格の一種で、チップを垂直に積層させることでスペースを節約し、消費電力を削減するものだ。このHBMはAIチップの機能に重要な役割を果たしており、現在SK hynixがNVIDIAの最大のHBMチップ供給元である。NVIDIAはAI市場の80%を占めているため、SamsungがHBM市場で意味のあるビジネスを行うためにはNVIDIAの認証を得ることが不可欠である。
SamsungはHBMの問題を解決できるか?
SamsungのHBM3およびHBM3Eチップで見られる熱と消費電力に関連する問題が即座に解決できるかどうかは不明だ。
SamsungはReutersに対して、HBMチップは「顧客のニーズに応じた最適化が必要」と述べており、顧客との緊密な連携を通じてさらなる最適化に取り組んでいることを明らかにした。
また、Samsungは最近、デバイスソリューション事業の責任者を交代し、過去にDRAMおよびNANDフラッシュの開発において重要な役割を果たした旧来の専門家を復帰させている。
Samsungは、これらの問題が解決され、今年の第2四半期末までにHBM3Eチップの量産を開始できることを期待している。既にAMDにはHBMチップを供給しているようだ。
AMDとNVIDIAは、価格を抑えるために少なくとも2つのベンダーから安定したHBMチップの供給を得るため、SamsungがHBMの問題を解決することを望んでいる。
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