NVIDIAのAIデータセンター向けGPUは「麻薬よりも入手困難」と、どこかの電気自動車やロケット開発企業のCEOが言っていたが、飛ぶように売れ、中には転売も起きるなど、世界中のテクノロジー企業による争奪戦が繰り広げられている。今回半導体分析会社TechInsightsが具体的な出荷台数を報告しているが、昨年からの大きな出荷台数の伸びを記録していることに加え、圧倒的な市場シェアを誇っていることが明らかになった。
NVIDIAは出荷台数、利益共に98%とほぼ市場を独占
Techinsightsの調査によると、2023年のデータセンター向けGPUの総出荷台数は、NVIDIA、AMD、Intelによる総数が約385万台となり、2022年の約267万台から大きく増加している。NVIDIAはそのうち、約376万台のGPUを販売し、約98%のシェアを誇り、更に収益シェアでも98%を占め、362億ドルの収益を上げており、2022年の109億ドルから3倍以上の成長を見せている。
ただし、依然として需給は逼迫しており、加えてNVIDIA製品が総じてコストが高いことはAMDとIntelにとっては有利に働いており、NVIDIAもいつまでも安泰とは言えないかも知れない。
AMDのデータセンター向けGPU出荷は今年さらに増加する見込みだ。特にAMDのMI300シリーズGPUはMicrosoftからもコストパフォーマンスに非常に優れているとの評価を受けており、加えてMeta、Oracleからの注文もあり、好調な売れ行きを示している。AMDによれば今年の売れ行きも好調なようで、「データセンター向けGPUの収益は2024年には40億ドルを超えると見込んでおり、1月のガイダンスで示した35億ドルを上回る」とCEOのLisa Su氏は述べている。
IntelもH100の価格の半分であるGaudi 3 AIプロセッサを提供しており、コストを重視する企業にとっては魅力的な選択肢となっている。
また、これまでは購入する側だったデータセンタープロバイダーもAI GPU開発競争に参入している。Microsoftは昨年、AIアプリケーション向けに開発したMaia 100 GPUを発表しており、これは同社が計画している1000億ドル規模のデータセンタープロジェクトで使用される可能性がある。AmazonやGoogleも自社製のチップを開発しており、AmazonはAWS向けにカスタムチップを製作し、Googleは来年にも自社製のデータセンターサーバープロセッサを使用する予定である。
データセンター市場での優位性に加えて、NVIDIAはデスクトップGPU市場でも88%のシェアを占めている。今年後半には次世代のRTX 50シリーズが発売される予定だ。
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