Appleは、自社のデバイスを他のプラットフォームと比較してメモリ効率に優れているとして、頑なに少ないRAM容量で抑えるように努めてきた。最新のMacですら最小構成は8GBであり、iPhoneも6GBしか搭載していない。だが、AI機能がもてはやされる昨今においては、少ないRAMではそもそもAI処理が行えないことも事実であり、こうした制約の下、Appleは徐々にその姿勢を変化させてきているようだ。XDA Developersによると、AppleはMacにおいて16GB以上の搭載メモリを必要とする機能を提供し始めており、これは8GBのメモリでは不十分である事を始めた初めての事例と言える。
AI関連の機能には少なくとも16GBは今後必要になる模様
AppleがWWDCに合わせてリリースした開発者ツール「Xcode 16」に搭載された新たな機能「予測コード補完(Predictive Code Completion)」は、AIの補助によって、開発者が次に書きたいコードを予測し、自動的にコードを生成する機能だ。こうしたAIによるコード生成機能はGitHub Copilot等でも注目されている機能であるが、このXcode 16の予測コード補完機能を利用するためには、16GBの搭載メモリとMシリーズチップが搭載されたMacが必要となっている。Appleのリリースノートには、以下の様に記されている。
「Xcode 16には、SwiftとApple SDKに特化して訓練された機械学習モデルを利用した予測的コード補完機能が含まれています。予測コード補完機能には、Appleシリコンを搭載し、16GBの統合メモリを持つMacでmacOS 15を実行していることが必要です。(116310768)」。
現在でもMacの最小構成は8GBメモリから始まっており、Appleが散々宣伝してきたこともあって、実際に8GBのモデルを使っているユーザーも多数いると思われるが、そうしたMacではXcode 16を使う事は出来るが、予測コード補完機能は使用することは出来ない。
Appleが16GBのメモリを要求するのは今回が初めてのケースだ。ソフトウェア開発向けの機能ではあるが、こうした姿勢の変化は今後同社の方針に少なからず影響をもたらすものと思われる。特にMacBook Proの最小構成が8GBというのは、このデバイスが“Pro”を謳っており、購入対象者にはソフトウェア開発者も多くいることを考えれば今後は変わってくる事だろう。
Sources
- XDA Developers: Even Apple finally admits that 8GB RAM isn’t enough
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