IntelのHEDT(High-End Desktop)およびワークステーション市場向けCPUをサポートする新しいW890チップセットの準備をIntelが進めているという情報がリークされている。この新チップセットは、Granite Rapids-Xと呼ばれる、多数の高性能コアを搭載する次世代プロセッサと組み合わせて使用される可能性が高い。この動きは、高性能コンピューティング市場におけるIntelの戦略を垣間見せる物となりそうだ。
Intel W890チップセット: 次世代HEDTプラットフォームの核心
IntelのHEDT市場向け戦略に新たな展開が見られる。ハードウェアリーカーのJaykihn氏が公開した情報によると、IntelはW890チップセットの開発を進めており、これは次世代のHEDTファミリー向けに特別に設計されているという。このW890チップセットは、現行のW790プラットフォームの後継として位置づけられる可能性が高い。
現在のIntelのワークステーション向けXeonファミリーは、最大60コア120スレッドを誇るSapphire Rapids CPUを搭載しており、既存のW790プラットフォーム上でサポートされている。しかし、W890チップセットは、これを大きく上回る性能を持つ次世代プロセッサに対応すると見られている。これは、高性能コンピューティング市場でのIntelの競争力強化を目指す動きの現れと言えるだろう。
特筆すべきは、W890チップセットが新しいソケットタイプを採用する可能性が高いことだ。具体的には、LGA 4710ソケットが有力候補として挙げられている。このソケットは、メインストリームのGranite Rapids-SP「Xeon 6700P」チップ用に設計されたものだ。一方、ハイエンドのデータセンターソリューション向けには、LGA 7529ソケットが使用される見込みである。この二つのソケットの存在は、Intelが市場セグメントに応じて製品ラインナップを細分化し、より適切なソリューションを提供しようとしていることを示している。
Granite Rapids-SPプロセッサの詳細も徐々に明らかになりつつある。このプロセッサは最大86コアを搭載し、現行のSapphire Rapids-SPチップと比較してコア数とスレッド数が43%増加する。これは、AMDのThreadripper 7000シリーズの96コアには及ばないものの、大幅な性能向上が期待できる。さらに、Granite Rapids-XプロセッサはMeteo Lakeと同じRedwood Coveコア(Pコア)を採用するが、より高い電力制限で駆動されることから、さらなるパフォーマンスの向上が見込まれる。
現時点でのW890チップセットの詳細な仕様は明らかになっていないが、エントリーレベルのXeonワークステーション向けW880チップセットと同等、あるいはそれ以上の機能を持つ可能性が示唆されている。ただし、これらの情報はまだ確定したものではなく、最終的な仕様発表までに変更される可能性がある。特に、メモリチャネル数については、現在の情報では2チャネルとされているが、最終的には4チャネルになる可能性が高いとされている。この点は、高性能コンピューティングにおけるメモリ帯域幅の重要性を考慮すると、大きな注目点となるだろう。
IntelのSapphire Rapids Refreshラインナップが間もなく発表される予定であることを踏まえると、次世代IntelのHEDTファミリーとW890マザーボードの発表は2025年頃になると予想される。この時期設定は、Intelが現行製品の市場浸透を十分に図りつつ、次世代製品の開発に必要な時間を確保するという戦略的な判断を反映していると考えられる。
HEDTおよびワークステーション市場での競争が激化する中、IntelのこのW890チップセットを中心とした新たな動きは、高性能コンピューティング分野における同社の地位を強化する重要な一手となりそうだ。特に、AMDのThreadripper製品との競争を考慮すると、Intelがどのような差別化戦略を取るかが注目される。コア数だけでなく、新アーキテクチャの採用やI/O性能の向上など、総合的な性能向上が期待される。
また、この新プラットフォームが登場することで、クリエイティブプロフェッショナルや科学技術計算、AI開発などの分野でのワークフローがどのように変化するかも興味深い。
Sources
コメント