Appleが6月のWWDC24で発表した次世代AI機能「Apple Intelligence」の導入が、当初の予定よりも遅れることが明らかになった。特に注目を集めている画像生成機能「Image Playground」と、AIを用いたカスタム絵文字生成機能「Genmoji」は、iOS 18.2で登場する見込みだ。
Apple Intelligenceの目玉機能はまだ登場せず
Apple Intelligenceは、iOS 18.1のベータ版でテストが開始されているが、その全ての機能が利用できるわけではなく、段階的に導入される事になっている。現在リリースしたされているiOS 18.1のベータ版では、その基本的な機能である、通知の要約機能やWebコンテンツの要約ツール、ライティング支援ツール、電話通話の自動文字起こし機能や、Appleメールアプリ内での重要なメールの優先表示機能などが導入され、テストされている。
しかし、多くのユーザーが期待していたImage PlaygroundとGenmojiはまだ登場しておらず、iOS 18.2まで待つ必要がある。iOS 18.2は12月にリリースされる見込みだ。
Image Playgroundは、AIを用いて様々な「創造的な」画像を生成できる新しいAppleツールだ。アニメーション、イラストレーション、スケッチの3つのスタイルが用意されている。注目すべき点は、写実的な画像生成はサポートしていないことだ。
一方、Genmojiは、簡単なプロンプトに基づいてカスタム絵文字を生成する機能だ。これにより、ユーザーはUnicode絵文字の標準では表現できない感情を、より自由に表現できるようになる。Genmojiは通常の絵文字と同様にテキスト内で使用でき、開発者向けAPIも提供される予定だ。
Apple Intelligenceの段階的展開戦略
Apple Intelligenceの導入は、地域によっても差がある。現時点では、EUや中国などの主要市場では、規制上の理由からApple Intelligence機能が利用できない可能性が高い。これらの地域でのサービス開始時期は未定だ。
また、AppleのCEOであるTim Cook氏は、ChatGPTのサポートが今年後半に利用可能になると述べているが、具体的な時期は明らかにされていない。さらに、個人的なコンテキストを理解する新しいSiriの機能は、来年春のiOS 18.4でのリリースが予定されている。
このような段階的な導入により、iPhone 16の発売直後にはApple Intelligenceの全機能を利用することはできない。そのため、一部のアナリストが期待していた「スーパーサイクル」(大規模な買い替え需要)は、iPhone 16では起こりにくいと予測されている。
Apple Intelligenceを利用するには、iPhone 15 Pro以降のモデル、またはM1チップ以降を搭載したiPadやMacが必要となる。今後発売予定のiPhone 16およびiPhone 16 Proも、Apple Intelligenceをサポートする見込みだ。
Appleは、AI機能の段階的な導入を通じて、ユーザーエクスペリエンスの向上と技術の安定性を確保しようとしている。しかし、競合他社のAI機能との差別化や、ユーザーへの明確な価値提案が課題となる可能性がありそうだ。
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