Intelが開発中の次世代CPUアーキテクチャに関する新たな情報が明らかになった。LinkedIn上で発見された情報によると、同社は「Royal Core」と「Cobra Core」と呼ばれる新しいマイクロアーキテクチャの開発に2023年から取り組んでいるという。これらの新アーキテクチャは、Intelの次世代プロセッサに搭載される予定で、市場で最高性能を誇るCPUと競合することを目指しているようだ。
Intelの次世代CPUアーキテクチャ開発計画
Intelのエンジニア、Antony Jose Emmatty氏の LinkedIn プロフィールによると、同社はRoyal CoreとCobra Coreの開発を2023年から進めている。このプロジェクトの目的は、「市場の他の競合他社と比較して、より電力効率が高く、高性能なIntel x86プロセッサ用の新しいアーキテクチャを作成し、実行すること」だという。
Royal Coreプロジェクトは、AMDのZenアーキテクチャを手掛けたことで知られる Jim Keller氏(現Tenstorrent創業者兼CEO)が主導し、Intelの次世代プロセッサ技術の基盤となることが期待された野心的なプロジェクトとしてスタートした。レンタブルユニット、4ウェイハイパースレッディング、状況に応じてパフォーマンスコア(Pコア)や効率コア(Eコア)として機能する新たなCPUタイルなど、数々の革新的な技術が研究されていたという。
だが、少し前にリーカーのMoore’s Law is Deadによって、このRoyal Coreプロジェクトが廃止された可能性も指摘されていた。このプロジェクトの集大成として計画されていた「Beast Lake」といモンスターCPUも廃止されたようだった。
Jose Emmatty氏のLinkedInプロフィールでの説明が、こうしたRoyal Coreプロジェクトの継続を示唆する物かどうかは不明だが、少なくともこのRoyal Coreプロジェクトが実際に稼働していたことの1つの証拠とはなるだろう。
Jose Emmatty氏のプロジェクト概要によると、Royal Coreは高性能と高効率を同時に達成することに焦点を当てているという。これは、IntelがQualcommのSnapdragon X EliteやX Plus、あるいはAppleのM-seriesシリコンなど、Armベースのライバル製品と競争できるマイクロアーキテクチャを開発したいという意図を示唆している。
もう一つの話題、Cobra Coreは、上記のRoyal Coreに続くプロジェクトのようだ。新たなマイクロアーキテクチャは当然のことながら、Intelの次世代プロセッサに採用されるものと見られる。Cobra Coreがどのような物になるのか、具体的な話題は現時点では一切出ていない。
以前リークされたIntelのロードマップによると、Nova Lakeが Lunar Lakeの直接の後継となる予定であり、Royal Coreで開発中だった一部の機能、例えばレンタブルユニット技術はNova Lakeと共にデビューするとMLIDは述べていた。この技術はPコアとEコアにタスクを割り当てる新しい細分化された方法だと推測される。
しかし、モバイルおよびデスクトップ向けのNova Lakeが市場に登場するのはまだ先の話で、リークされたロードマップでは2026年から2027年の時間枠が示唆されている。Cobra Coreが果たしてNova Lakeに採用されるのか、その後の新たなプロセッサに採用されるのかは分からないが、早くても2026年、恐らく2027年頃に実用化されるのではと見られる。
Xenospectrum’s Take
Intelは苦境が続いているが、新しいアーキテクチャの開発によって、半導体業界に新たな風を吹き込もうとしているようだ。高性能と高効率を同時に追求するこの取り組みは、消費者にとって大きな恩恵をもたらすだろう。特に、「レンタブルユニット」という新概念の導入は、プロセッサアーキテクチャの新時代を予感させる。
しかし、2027年以降の登場が予想されるCobra Coreまでの道のりは長い。その間、ArmベースのプロセッサやAMDなどの競合他社も技術革新を続けるだろう。Intelが市場でのリーダーシップを維持できるかどうかは、Royal CoreやNova Lakeなど、Cobra Core以前の世代でどれだけの進化を遂げられるかにかかっている。
また、Jim Keller氏の離脱がプロジェクトにどのような影響を与えたのかも気になるところだ。彼の構想がどの程度残されているのか、そしてIntelの新しいチームがそれをどのように発展させているのかは、今後の展開を左右する重要な要素となるだろう。
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