AMDが待望の新型GPUを搭載した「Radeon RX 9070 XT」と「RX 9070」グラフィックボードを発表した。RDNA 4アーキテクチャを採用し、4Kゲーミングをより身近にするこれらのモデルは、3月6日に発売され、ライバルのNVIDIA GeForce RTX 5070 Tiに匹敵する性能を、150ドル安い価格で実現する可能性があるとのことだ。
AMD、Radeon RX 9070シリーズを発表：RDNA 4アーキテクチャ採用
AMDは、Radeon RX 9000シリーズのグラフィックボードとして、Radeon RX 9070 XTとRadeon RX 9070を発表した。これらの新GPUは、RDNA 4アーキテクチャを採用し、ミドルレンジ市場に高性能とコストパフォーマンスをもたらすことを目指している。発売日は2025年3月6日、AMDのAdd-in Board (AiB) パートナーを通じて販売される。
RDNA 4アーキテクチャ：レイトレーシングとAI性能を強化
RDNA 4アーキテクチャは、前世代のRDNA 3から大幅に進化し、特にレイトレーシングとAI処理能力が向上している。第3世代のレイアクセラレータは、Compute Unit (CU) あたりのレイトレーシング性能を2倍に向上させた。第2世代AIアクセラレータは、Int8 Sparsityで8倍のAIパフォーマンスを実現する。これにより、最新ゲームでのグラフィックス表現と、AIを活用した機能において、より高いパフォーマンスが期待できる。
Radeon RX 9070 XT：RTX 5070 Tiに匹敵する性能を低価格で
RX 9070 XTの主要スペック
- 完全版Navi 48ダイ搭載
- 64 RDNA 4コンピュートユニット（4096シェーダー）
- 最大ブーストクロック: 2.97 GHz
- 16GB GDDR6メモリ（20Gbps、256ビットバス）
- メモリ帯域幅: 640 GB/s
- 64MB第3世代Infinity Cache
- レイトレーシングアクセラレータ: 64基
- AIアクセラレータ: 128基
- 理論演算性能: 48.7 TFLOPS FP32
- TDP: 304W
Radeon RX 9070 XTは、RDNA 4アーキテクチャのNavi 48 (XT) GPUを搭載し、64 CU、ブーストクロック最大2.97 GHz、16GB GDDR6メモリ、TBP 304Wというスペックである。AMDの公式発表によると、RX 9070 XTは、4K解像度・最大設定のゲームにおいて、Radeon RX 6900 XTより平均51%、GeForce RTX 3090より平均26%高速である。
さらに、NVIDIA GeForce RTX 5070 Tiとの比較では、ネイティブおよびレイトレーシング性能で同等レベルを実現しながら、150ドル低い価格設定をアピールしている。RX 9070 XTのラスタライズ性能はRX 7900 XTとRX 7900 XTXの中間程度、レイトレーシング性能はRX 7900 XTXをわずかに上回る程度と予測され、NVIDIA GeForce RTX 5070 Tiまたは前世代のRTX 4080と同等の性能を発揮すると見られる。
Radeon RX 9070：RX 7900 GREを上回る性能
RX 9070の主要スペック
- カットダウン版Navi 48ダイ搭載
- 56 RDNA 4コンピュートユニット（3584シェーダー）
- 最大ブーストクロック: 2.52 GHz
- 16GB GDDR6メモリ（20Gbps、256ビットバス）
- メモリ帯域幅: 640 GB/s
- 64MB第3世代Infinity Cache
- レイトレーシングアクセラレータ: 56基
- AIアクセラレータ: 112基
- 理論演算性能: 36.1 TFLOPS FP32
- TDP: 220W
Radeon RX 9070は、Navi 48 (XL) GPUを搭載し、56 CU、ブーストクロック最大2.52 GHz、16GB GDDR6メモリ、TBP 220Wというスペックである。AMDの発表では、RX 9070は、4K解像度でRadeon RX 6800 XTより平均38%、GeForce RTX 3080より平均26%高速である。Radeon RX 7900 GREとの比較では、4Kネイティブ環境で平均21%、レイトレーシング処理で最大34%高速としている。RX 9070のラスタライズ性能はRTX 4070 Superをわずかに上回り、レイトレーシング性能はRX 7900 XTとRX 7900 XTXの中間程度と予測される。
価格と発売日：RX 9070 XTは599ドル、RX 9070は549ドル
Radeon RX 9070 XTの希望小売価格 (SEP) は599ドル、Radeon RX 9070は549ドルである。発売日は2025年3月6日で、Acer、ASUS、ASRock、PowerColor、Gigabyte、XFX、Sapphire、Yeston、Vastarmorなどの AMD AiBパートナーから様々なモデルが発売される予定だ。
FSR 4とHYPR-RX：さらなる性能向上を実現
合わせてAMDは、RDNA 4アーキテクチャ向けの新機能として、FidelityFX Super Resolution 4 (FSR 4) とHYPR-RXを発表した。FSR 4は、RDNA 4 GPU専用のアップスケーリング技術で、ネイティブ解像度に近い画質を維持しながら、大幅なフレームレート向上を可能にする。HYPR-RXは、FSR 4とRadeon Anti-Lag+、Radeon Boostを組み合わせることで、ゲームパフォーマンスをさらに高める技術である。AMDは、FSR 4とHYPR-RXの組み合わせにより、ネイティブレンダリングと比較して最大3倍のパフォーマンス向上を実現できるとしている。
XenoSpectrum’s Take
AMD Radeon RX 9070シリーズは、RDNA 4アーキテクチャの採用により、ミドルレンジGPU市場に新たな風を吹き込む可能性を秘めている。特に注目すべきは、Radeon RX 9070 XTがRTX 5070 Tiクラスの性能を、より低い価格帯で実現しようとしている点である。AMDが提示した性能データが実環境で再現されれば、コストパフォーマンスに優れた魅力的な選択肢となるだろう。
ただし、RX 9070 XTの価格設定は、RX 7900 XTからの価格下落幅が小さく、劇的な世代交代感に欠けるという側面も否めない。また、レイトレーシング性能では、依然としてNVIDIAに一日の長がある可能性がある。
AMDが強みとするFSR 4とHYPR-RXが、DLSS 4やNVIDIAのレイトレーシング技術に対抗できるかどうかが、今後の市場での成否を左右するだろう。ゲーマーにとって、RX 9070シリーズが新たな選択肢となるのか、今後のレビューや市場の反応に注目が集まる。
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