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NVIDIA GPU向けCUDAのコードをそのままAMD GPU向けにコンパイル出来る「SCALE」が登場

Y Kobayashi

2024年7月17日

人々をNVIDIA製GPUに縛り付けていた枷の一つが取り払われるかも知れない。英国の企業Spectral Computeが7年の開発期間を経て、CUDAプログラムをAMD GPUでネイティブに実行できるGPGPUツールチェーン「SCALE」を公開した。これにより、開発者はコードの変更なしにCUDAアプリケーションをAMD GPUで動作させることが可能になるのだ。

SCALEがもたらすGPGPU開発の新たな道

SCALEは、CUDAソースコードをAMD GPU向けにネイティブコンパイルする「クリーンルーム実装」として設計された。これまでのHIPIFYやZLUDAなどの既存のソリューションとは異なり、SCALEはコードの変換や移植作業を必要とせず、CUDAプログラムをそのままAMD GPU向けにコンパイルできる。

特筆すべき点として、SCALEはNVIDIAのnvccコンパイラの代替として機能し、NVIDIA CUDA Toolkitを「模倣」するランタイムを提供する。これにより、インラインNVPTXアセンブリを含むCUDAプログラムもサポートされている。

Spectral Computeによると、SCALEはBlender、Llama-cpp、XGboost、FAISSなど、多くの人気ソフトウェアでの動作が確認されている。また、RDNA2およびRDNA3 GPUでの広範なテストが行われており、RDNA1での基本的なテストも実施されている。

SCALEの核心部分は、AMD GPUに対応したCUDAランタイムおよびドライバAPIの実装と、AMDのROCmライブラリとインターフェースするオープンソースのラッパーライブラリから構成されている。これらの技術により、開発者は単一のコードベースで複数のGPUベンダーに対応できるようになる。

Spectral Computeは、SCALEの開発を2017年から自社のコンサルティング事業を通じて資金調達してきたという。現時点でSCALE自体はオープンソースソフトウェアではないが、ユーザー向けに無料エディションのライセンスが提供されている。

SCALEの登場により、GPGPUプログラミングの柔軟性が大幅に向上し、開発者はハードウェアの選択肢を広げつつ、CUDAの優れた開発ツールを活用できるようになる。この技術革新は、GPU市場の競争を促進し、最終的にはユーザーに利益をもたらすことが期待される。


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