AMDが次世代Ryzen 9000シリーズCPUの米国での販売価格を発表し、前モデルから値下げされるのではとの噂に終止符を打った。Zen 5アーキテクチャを採用したこの新シリーズは、実際に前世代のRyzen 7000シリーズを下回る価格設定となっており、その期待される性能と相まって多くの注目を集めそうだ。
Ryzen 9000シリーズの戦略的な価格設定
AMDが公式に確認したRyzen 9000シリーズの価格は以下の通りとなり、それぞれ前世代モデルから20ドルから50ドルの値下げが実現している:
- Ryzen 9 9950X: 649ドル(前世代7950Xより50ドル安)
- Ryzen 9 9900X: 499ドル(前世代7900Xより50ドル安)
- Ryzen 7 9700X: 359ドル(前世代7700Xより40ドル安)
- Ryzen 5 9600X: 279ドル(前世代7600Xより20ドル安)
これらの価格設定は、現在のインフレーション傾向の中で異例の動きと言える。AMDはこの戦略的な価格設定により、AM5プラットフォームへの新規ユーザーの獲得を狙っているようだ。特に、IntelがデスクトップCPU市場で直面している課題を考慮すると、AMDがシェアを大きく拡大する可能性が高まっている。
なお、日本での価格については本稿執筆時点ではまだ未定だが、リーカーの@momomo_us氏によると、フラッグシップのRyzen 9 9950Xが117,800円、Ryzen 9 9900Xが88,800円、Ryzen 7 9700Xが70,800円、Ryzen 5 9600Xが54,800円になる可能性がありそうだ。
- Ryzen 9 9950X: 117,800円
- Ryzen 9 9900X: 88,800円
- Ryzen 7 9700X: 70,800円
- Ryzen 5 9600X: 54,800円
発売日については、当初7月31日に予定されていたが、AMDは初期バッチでの品質管理の問題に対処するため、発売を延期した。新たな発売スケジュールでは、Ryzen 7 9700XとRyzen 5 9600Xが8月8日に、高性能モデルのRyzen 9 9950XとRyzen 9 9900Xが8月15日に市場投入される予定だ。
Ryzen 9000シリーズの特筆すべき特徴として、TDP(熱設計電力)の大幅な改善が挙げられる。以下の表は、前世代モデルとの比較を示している:
モデル | Ryzen 7000 TDP | Ryzen 9000 TDP |
---|---|---|
Ryzen 9950X | 170W | 170W |
Ryzen 9900X | 170W | 120W |
Ryzen 9700X | 105W | 65W |
Ryzen 9600X | 105W | 65W |
特にRyzen 9 9900X、Ryzen 7 9700X、Ryzen 5 9600Xでの大幅なTDP低減は、性能向上と省電力化の両立を実現している点で注目に値する。
AMDは、Ryzen 9 9950XをIntelのCore i9-14900KおよびCore i9-14900KSと直接競合するモデルとして位置付けている。Intel Core i9-14900Kが550-560ドル程度で販売されていることを考えると、AMDの価格設定は約100ドル高くなっているが、AMDは9950Xが優れたマルチスレッド性能とゲーミング性能を提供すると主張しており、この価格差を正当化しようとしている。
また、Ryzen 7 9700Xについては、現在最高のゲーミングチップとされるRyzen 7 7800X3Dをわずかに上回る性能を、わずか65WのTDPで実現すると発表しており、高性能と省電力性を両立させている点で注目に値するだろう。
しかし、注意すべき点として、新シリーズの発売時には800シリーズのマザーボードは利用できないことが挙げられる。これは、一部のユーザーにとっては新プラットフォームへの移行を躊躇させる要因となる可能性がある。
総じて、AMDのこの価格戦略と性能向上は、デスクトップCPU市場に大きな影響を与えると予想される。特に、高性能かつ省電力なプロセッサを求めるユーザーにとって、Ryzen 9000シリーズは魅力的な選択肢となりそうだ。
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