AMDが高性能ノートPC向けの新プロセッサー開発を進めている。中国の有力PCメーカーHaseeの会長Wu Haijunの発言により、同社がZen 5アーキテクチャーベースの新型CPU「Ryzen 9 9955HX3D」を開発中であることが明らかになった。これは同社初のモバイル向け3D V-Cache搭載プロセッサーとなる。
Fire Rangeコードネームで開発進む新世代HXプロセッサー
AMDの新プロセッサーは「Fire Range」というコードネームで開発が進められている。これは現行の「Dragon Range」(Ryzen 7045HX)シリーズの後継製品となる。注目すべきは、デスクトップ向けで好評を博した3D V-Cache技術を初めてモバイル向け製品に採用する点だ。
この新製品は、AMDの最新のプロセッサーネーミングスキーム「Ryzen AI 300」シリーズとは異なり、従来の命名規則に従って「Ryzen 9 9955HX3D」として展開される見込みだ。
期待される仕様と性能
Ryzen 9 9955HX3Dは、16コア32スレッドの構成になると予測されている。現行モデルのRyzen 9 7950HXが搭載する64MBのL3キャッシュに加えて、3D V-Cacheによる追加の64MBが実装され、合計128MBという大容量のL3キャッシュを備えることになる。
この大容量キャッシュは、特にゲーミング性能において大きな優位性をもたらすと期待されている。また、ディスクリートGPUとの組み合わせにおいても、高いパフォーマンスを発揮すると見られている。
Xenospectrum’s Take
AMDの3D V-Cache技術のモバイル展開は、同社の技術的優位性を示す重要な一手と言える。特に、競合するIntelのArrow Lake-HXプロセッサーが大きな性能向上を見せていないとされる中、このタイミングでの投入は市場でのポジション強化に繋がるだろう。
ただし、マルチチップレット設計に起因するバッテリー寿命の課題は依然として残されている。AMDがこの課題にどう対処するのか、あるいは高性能を優先する戦略を取るのか、製品の詳細発表が待たれるところだ。正直なところ、デスクトップ置き換え用途に特化した製品として割り切る可能性も高いと見ている。
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