AMDのZen 5アーキテクチャに基づく次世代プロセッサ「Ryzen 9 9900X」のベンチマークテスト結果がGeekbench Browserに登場し、その驚異的なシングルコア性能が明らかになった。だが、注目すべきはそのスコアだけではなく、これを達成したRyzen 9 9900XのTDPの低さにもある。
Ryzen 9 9900XはTDPが遥かに低い中で大きなIPC向上を実現している
AMDの新しい「Granite Ridge」デスクトップCPUであるRyzen 9 9900Xは、12コア24スレッドの構成を持ち、ベースクロックが4.40 GHz、ブーストクロックは5.66 GHzまで達する。注目すべきは、これらの高い性能を120WのTDPで実現している点だ。
今回明らかになったGeekbench 6のテストは、ASUS ROG Crosshair X670E Geneマザーボードに32GBのDDR5メモリーを搭載してテストされた。チップは5.6GHz(5664MHz)以上のピーク周波数で動作していることが確認出来る。
Geekbench 6のテスト結果は、シングルコアスコアが3,401ポイント、マルチコアスコアは19,756ポイントを記録した。この結果は、現行の最速チップであるIntel Core i9-14900KS(3,200ポイント)を約5%上回り、AMDの前世代モデルRyzen 9 7950X(2,950ポイント)と比較しても15.6%高速であることを示している。前世代の同価格帯モデルRyzen 9 7900X(2,920ポイント)からは実に16.5%もの大きなIPC向上が見られる。
マルチコア・スコアではCore i9-14900KSよりも10%低い結果ではあるが、特筆すべきは、この性能向上が消費電力を抑えた状態で達成されている点だ。Ryzen 9 7900Xの170WからTDPを120Wに削減しながら、ベースクロックを300 MHz下げるだけで、シングルコア性能で約16%、マルチコア性能で11%の向上を実現しているのだ。
AMDによると、Geekbench はZen 5のIPC向上が最も顕著に現れるベンチマークの一つで、Zen 4と比較して最大19%の性能向上が見込まれるという。
Ryzen 9000シリーズは7月31日に発売される可能性が高く、価格設定については、海外では前世代からの値下げが予想されている。日本は円安の影響もあり前世代と同程度になる可能性が高そうだ。高性能と効率性を両立したZen 5アーキテクチャは、AMDの競争力をさらに高め、ハイエンドCPU市場での地位を強化するかも知れない。
Sources
- Geekbench Browser: ASUS System Product Name
- via Benchleaks
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