AMDが次世代のハイエンドデスクトップ向けプロセッサー、Ryzen 9000シリーズに3D V-Cache技術を搭載したモデルが登場することは以前から噂されていた。今回このRyzen 9000X3Dシリーズの上位モデル、Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dモデルに関する新たな情報がもたらされ、前モデルから大幅な進化を遂げる可能性が明らかになり、ゲーミング性能の飛躍的な向上が期待出来そうだ。
革新的な3D V-Cache技術の進化
Benchlifeによると、Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dの最大の特徴は、両CCDチップレットに3D V-Cacheを搭載していることだ。これにより、各プロセッサーは驚異の192MBのL3キャッシュ(各CCD当たり96MB)を実現しているという。この進化により、総キャッシュ量(L2+L3)は、Ryzen 9 9950X3Dで208MB、Ryzen 9 9900X3Dで204MBという圧倒的な数値を達成している。
具体的なキャッシュ構成は以下の通りだ:
- Ryzen 9 9950X3D:64MB L3 + 128MB 3D V-Cache + 16MB L2 + 1MB L1 = 合計209MB
- Ryzen 9 9900X3D:64MB L3 + 128MB 3D V-Cache + 12MB L2 + 768KB L1 = 合計204.8MB
この大容量キャッシュは、特にゲーミング性能の向上に大きく貢献すると予想される。前世代のRyzen 7000シリーズでは、3D V-Cacheを搭載したCCDが1つのみだったのに対し、新モデルでは両CCDに搭載されることで、より均一で高いパフォーマンスを発揮できるようになっているというのだ。
新プロセッサーの市場戦略と展望
AMDの新戦略は、ハイエンド市場でのシェア拡大を狙ったものだ。特に、IntelのCore Ultra 2シリーズ「Arrow Lake-S」に対抗するため、まずRyzen 7 9800X3D(8コア/16スレッド)を2024年10月下旬か11月上旬に投入する計画のようだ。この早期リリースは、ゲーミング市場でのAMDの競争力を維持するための重要な一手となる。
一方、より高性能なRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3Dは2025年第1四半期の発売が予定されている。これらのモデルは、前述の革新的なキャッシュ構成により、マルチタスクやコンテンツ制作などの高負荷タスクでも卓越したパフォーマンスを発揮すると期待されている。
さらに、注目すべきは、AMDがRyzen 5 9600X3Dの投入も計画していることだ。これは、IntelのCore i5シリーズに対抗する2度目の試みとなる。直近でリリースされたRyzen 5 7600X3Dが、ゲーミングワークロードにおいてCore i5-14600Kに1-3%及ばなかった経験を踏まえ、さらなる改良が期待される。
Xenospectrum’s Take
AMDの新Ryzen 9000 X3Dシリーズについては、AMD自身が“クールな差別化要素”が用意されると語っていたが、具体的な内容については様々な憶測が流れていた。今回の、大容量キャッシュ搭載の報告は、市場に大きなインパクトを与える物と言えるだろう。ゲーミング性能とマルチタスク性能の両立を図る上で画期的な一歩だと言える。
これまで、3D V-Cache技術はゲーミング性能向上に主眼を置いていたが、新モデルではより広範なワークロードで恩恵を受けられるようになった。この進化は、デスクトップPC市場におけるAMDの競争力を大幅に高めるだろう。
しかし、2025年第1四半期という発売時期は、技術革新のスピードが速い半導体業界においてはやや遅いタイミングに感じられる。Intelも黙って見ているわけではないだろう。AMDがこの期間をどのように活用し、さらなる性能向上や最適化を図るのか、更なる別の要素が明らかになるのか、今後の情報に注目したいところだ。
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