AMDの次世代フラグシップゲーミングプロセッサ「Ryzen 9 9950X3D」の仕様詳細が、CPU-Zのスクリーンショットを通じてリークされた。これまでのX3Dモデルでは避けられなかったクロック周波数の制限を克服し、非X3D版に迫る動作周波数を実現しながら、大容量の3D V-Cacheを搭載できる可能性が明らかになった。このリークは、AMDが次世代プロセッサで採用する新しい設計アプローチの存在を示唆している。
Ryzen 9 9950X3Dの仕様の詳細
リーカーの@94G8LAによって公開されたCPU-Zのスクリーンショットには、現在エンジニアリングサンプルの段階にある同プロセッサの詳細な仕様が記載されている。最も注目すべき点は、最大5.65GHzというブーストクロックだ。これは非X3D版のRyzen 9 9950Xの5.7GHzに僅か50MHz程度しか劣らない数値である。前世代のRyzen 9 7950X3Dでは、3D V-Cache搭載CCDのクロック速度が非搭載CCDと比較して約500MHz低く抑えられていたことを考えると、驚異的な進歩と言える。
このプロセッサはGNR-B0リビジョンのGranite Ridgeコードネームで示されており、次世代Zen 5アーキテクチャを採用したデスクトップCPUであることが確認された。16コア32スレッド構成で、バス速度は99.78MHz、最大CPUマルチプライヤーはx56.5という仕様になっている。
革新的なキャッシュ設計の採用
キャッシュ構成においても、AMDは大きな技術革新を成し遂げた可能性がある。CPU-Zのスクリーンショットによると、L3キャッシュは96MB + 32MBという特徴的な構成を採用している。この数値は、両方のCCDに32MBのL3キャッシュを搭載し、さらに3D V-Cacheチップレットによって追加の64MBが提供されることを示している。L2キャッシュの16MBと合わせると、総キャッシュ容量は144MBに達する。
特筆すべきは、3D V-Cacheチップレットの配置方法の変更だ。AMDは新設計において、3D V-Cacheをコアの下に配置する手法を採用したとされる。この革新的なアプローチにより、発熱の大きなコアが直接IHS(統合ヒートスプレッダー)と接触できるようになり、効率的な熱伝導が可能になったと考えられる。
電力効率と熱設計の進化
TDPは170Wと設定されており、これは非X3D版と同じ値を示している。前世代のRyzen 9 7950X3Dが120Wだったことを考えると、50Wという大幅な上昇となる。この電力増加は、第2世代3D V-Cache技術による熱設計の改善が可能にしたものと推測される。新しい設計アプローチにより、より高い熱耐性と電力効率が実現できたことを示唆している。
当該のエンジニアリングサンプルでは、発熱による制限を克服し、高いクロック速度での持続的な動作を可能にする技術的なブレークスルーが達成されている可能性がある。ただし、これは開発段階のサンプルであり、最終製品では仕様が調整される可能性も否定できないだろう。
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