AMDの最新モバイル向けプロセッサ「Ryzen AI 300」シリーズは、Zen 5コア・アーキテクチャに基づくCPUコアや、最新のRDNA 3.5ベースの統合がGPU、そしてQualcommのSnapdragon X Eliteを上回る50TOPSを誇るXDNA2ベースのNPUなど、多くの新機軸が盛り込まれた期待の新製品だ。その性能の一端は既に一部のベンチマークテストでも明らかになっているが、今回詳細な「Ryzen AI 9 HX 370」のベンチマークテスト結果が公開され、一部ではデスクトップCPUに比肩する強力な性能が明らかになった。
Zen 5 CPUの驚異のパフォーマンスを見せつける結果に
Ryzen AI 300には、2つのラインナップが存在する。1つは「Ryzen AI 9 HX 370」で、こちらは上位モデル、そして下位モデルの「Ryzen AI 9 365」だ。主な違いは、CPUコア数とGPUのCU数となっている。今回ベンチマークテストで登場するのは上位モデルのRyzen AI 9 HX 370だ。
Cinebench 2024のシングルコアテストにおいて、Ryzen AI 9 HX 370は124ポイントを記録している。この数値は、なんと現行モデルのデスクトップ向けプロセッサでフラッグシップの「Ryzen 9 7950X」や、Intel Core i9-12900K、Core i7-13700Kと同等の性能を示す驚異的なものだ。これは、新しいZen 5 CPUコアの驚くべきパワーを浮き彫りにするもので、7月にも登場すると見られるRyzen 9000デスクトッププロセッサの性能が楽しみになる結果でもある。ちなみに、Ryzen AI 9 HX 370はマルチコアテストでは、1,525ポイントと、これまたZen 3世代のフラッグシップデスクトッププロセッサ「Ryzen 9 5950X」を上回る性能を示している。
ちなみに、AI処理性能に関しては、AMD、Intelの現行モバイル向けプロセッサを大きく上回るシステムトータル80TOPSを記録しているようだ。
GPUに移ると、Ryzen AI 9 HX 370のRadeon 890M GPUは、3DMarkのTime Spyベンチマークで4,221ポイントをマークしている。これはNVIDIA GeForce RTX 3050とRTX 2050の間に位置し、統合型GPUの性能としては立派なものだ。これはRadeon 890Mの性能がRTX 2050と同等であるという以前のリークを事実上裏付けるものだが、Time Spyは特に負荷の高いベンチマークではないため、グラフィックス負荷の高いテストではNVIDIAのGPUに遅れをとる可能性がある。
最後に、NPUの処理性能だが、これは発表時の通り、Ryzen AI 9 HX 370は50TOPSのNPUを搭載しており、QualcommのSnapdragon X Eliteの45TOPS、AppleのM4の38TOPSを上回るAI処理性能を誇っている。
これらのベンチマークスコアは印象的だが、ファーストパーティのソースからのものであるため、ある程度は控えめに見る必要があるだろう。とはいえ、今後の最適化によっては更に性能が向上する可能性もあり、搭載製品の登場が楽しみだ。ただし、AMD Ryzen AI 300搭載PCは、発売当初は「Copilot+ PC」として、Windowsの一部機能を使うことが出来ず、今後のアップデートで対応すると言われている。
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