AMDが次世代携帯ゲーム機向けの新チップ「Z2 Extreme」を2025年初頭に発表する計画であることが明らかになった。この情報は、ベルリンで開催されたIFAにおいて、AMD コンピューティング&グラフィックス部門責任者のJack Huynh氏によって明かされたものだ。
AMDの新チップ「Z2 Extreme」発表計画の詳細
AMDの新チップ「Z2 Extreme」は、現行のRyzen Z1 Extremeの後継として位置づけられている。Ryzen Z1 Extremeは、現在Asus ROG Ally X、Asus ROG Ally、Lenovo Legion Goなど、人気の高いゲーミングハンドヘルドデバイスに搭載されているチップだ。
AMDの広報担当者Stacy MacDiarmid氏は、Z2 Extremeの発表が2025年初頭に予定されていることを確認した。ただし、現時点では具体的な仕様や性能に関する詳細情報は明らかにされていない。
注目すべき点として、AMDは複数のパートナーと協力してこの新チップの開発を進めているという。これは、Z2 Extremeチップがすでにハンドヘルドデバイスメーカーの手に渡っている可能性を示唆している。また、業界筋からの情報によると、Z2 Extremeは AMDの「Strix Point」アーキテクチャをベースにしている可能性が高いとされている。
Z2 Extremeチップは、性能と電力効率の両面で大きな改善が期待されている。現行のZ1 Extremeチップは、主にノートPC向けRyzen 7 8840Uを調整したものであり、高性能を発揮するには大量の電力を必要とした。その結果、ROG AllyやLegion Goなどのデバイスでは、Steam Deckでは動作が厳しいゲームを実行するために40〜50Wもの電力を消費し、バッテリーの持続時間が1時間未満になることもあった。
新チップの開発にあたり、AMDは携帯ゲーム機向けに特化した設計を行う可能性がある。これにより、性能と電力効率のバランスが大幅に改善されることが期待される。特に、AI駆動の機能を活用することで、バッテリー寿命の延長が図られる可能性が高い。
Huynh氏は、新チップの性能に関して興味深い発言をしており、具体的には『黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)』のようなゲームを、現在の45分ではなく3時間プレイできるようにしたいと述べている。この発言が単なる例示なのか、それともZ2 Extremeの実際の性能目標を示唆しているのかは不明だが、バッテリー寿命の大幅な改善が期待出来そうだ。
Z2 Extremeの登場は、ゲーミングハンドヘルド市場に大きな影響を与えると予想される。AsusやLenovoなどの既存パートナーによる新製品の登場はもちろん、新たなメーカーの参入も促進される可能性がある。例えば、ZOTACはGamescomでRyzen 7 8840U搭載の「Zone」を発表し、AcerもIFAでRyzen 7 8840HS搭載の「Nitro Blaze 7」を披露している。
さらに、Valveの次世代Steam Deckにも注目が集まっている。現行のSteam Deck OLEDはZ1 Extremeよりも性能の低いチップを使用しているが、Z2 Extremeの登場により、Steam Deck 2の開発が加速する可能性もある。
AMDのZ2 Extremeチップは、携帯ゲーム機市場に新たな可能性をもたらすと同時に、競合他社にも影響を与えることが予想される。IntelはすでにLunar Lake CPUを搭載したMSI Claw 8 AI+の2025年初頭の発売を予定しており、チップメーカー間の競争が一層激化することが見込まれる。
この新チップの登場により、ゲーマーはより長時間のプレイと高性能なゲーム体験を楽しめるようになる可能性が高い。2025年初頭の正式発表には注目が集まりそうだ。
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