AppleのAIへの取り組みはどうやら水面下で着々と進められているようだ。Bloombergの報道によると、Appleは今年の初めにカナダのAIスタートアップDarwinAIを買収したという。
ニューラル・ネットワークの小型化に強みを持つDarwinAI
DarwinAIは、ディープ・ニューラル・ネットワークの小型化と効率化で知られているが、これはAIのオンデバイス処理にとって重要な要素となる。
GoogleがGemini Nanoを発表し、Google Pixel 8 Proにおいて、クラウド接続を必要とせず、デバイス上で生成AIによる一部の処理を担うことが出来る事が注目を集めているが、スマートフォンでの生成AI利用は特にこの方向で競争が過熱する物と見られている。
これは、レスポンスの面からも有用な物であるが、特にプライバシーという観点からも重要な物だ。特に、Appleのように(表向きは)プライバシー重視の姿勢を示している企業にとってオンデバイスAI処理はメリットが大きい。ローカルでのデータ処理により、機密性の高いユーザー情報をクラウドに送信することを最小限に抑え、ユーザーのプライバシーを高めることができるからだ。さらに、オンデバイスAI処理により、ユーザーはインターネット接続がなくてもAI機能にアクセスできるようになり、頻繁に使用する機能の処理コストが削減される可能性もある。
Bloombergによると、既にDarwinAIの従業員の多くは、Appleの人工知能部門に入社しており、DarwinAIのWebサイトとソーシャルメディアのアカウントもオフラインになっている。DarwinAIの設立に貢献したウォータールー大学のAI研究者Alexander Wong氏は、AppleのAI部門のディレクターに就任しているようだ。
Appleは今年後半にiOS 18とmacOS 15で大きな計画を立てており、新しいAI機能でプラットフォームの実用性を拡大することを目指している。Appleの生成AIへの参入は比較的遅かったが、それを挽回するべくiPhoneやMac向けの新機能やツールの構築に多くの資金と時間を割いている。しかし、OpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、MicrosoftのCopilotに対抗することを目指すのであれば、同社は大きな飛躍を遂げなければならないだろう。
今のところ、AppleはSiri、Spotlight検索、メッセージ、Apple Music、ショートカットの強化に取り組んでいる。しかし、同社はまた、自然言語コマンドに基づいて静止画像を編集、操作、アニメーション化するAIを使用したツールも開発しており、徐々にその生成AIへの取り組みを明らかにしつつある。同社が近々発表するiPhone向けのアップデートで、このツールをどのように統合するのかはまだわからないが、6月のWWDCにてその全貌が明らかになるに違いない。
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