サンフランシスコを拠点とするエンタープライズ向け生成AI企業Writerが、19億ドルの評価を受け、2億ドルのシリーズCラウンドの資金調達を完了したことを発表した。この資金調達は、同社の急成長と企業向け生成AI市場における強固なポジショニングを示している。
大手投資家が示す圧倒的な信頼
今回の資金調達ラウンドは、Premji Invest、Radical Ventures、既存投資家のICONIQ Growthが共同主導し、Salesforce Ventures、Adobe Ventures、B Capital、Citi Ventures、IBM Ventures、Workday Venturesなど、テクノロジー業界を代表する企業のベンチャーアームが参加した。既存投資家のAccenture、Balderton、Insight Partners、Vanguardも支援を継続している。
この資金調達により、Writerの累積調達額は3億2,600万ドルに達した。注目すべきは、約1年前のシリーズBラウンドでの企業価値が5億から7.5億ドルと報告されていたことを考えると、1年足らずで企業価値が2倍以上に成長したことを示している。
技術革新と市場展開の加速
Writerは2020年にMay HabibとWaseem AlShikhによって創設され、わずか4年で企業向け生成AIプラットフォームの主要プレイヤーへと成長した。同社の主力製品であるPalmyra X 004は、最大128,000トークンの処理が可能で、特にツール使用においてGPT-4を上回るパフォーマンスを示している。
同社のCEOであるMay Habibは「Writerは単なるタスク実行用のAIモデルではなく、ミッションクリティカルな企業業務を遂行できる高度なAIシステムを開発している」と述べている。実際に、Mars、Ally Bank、Qualcomm、Salesforce、Uber、Accenture、L’Oréal、Intuitなど数百社の大手企業が導入し、平均で9倍のROIを達成していると報告されている。
Xenospectrum’s Take
生成AI市場が過熱する中、Writerの成功は示唆に富んでいる。特筆すべきは、同社が最新モデルPalmyra X 004を70万ドルという(生成AIとしては)比較的低コストで開発したと主張していることだ。これはOpenAIの同規模モデルの推定開発コスト460万ドルと比較すると破格だ。
しかし、真の勝負はこれからだ。エンタープライズAI市場は、データプライバシー、著作権、そしてAIの「ハルシネーション」という根本的な課題に直面している。Writerが掲げる「セキュアで信頼性の高い自律型AIソリューション」の実現は、これらの課題をどう克服するかにかかっている。確かに資金力は手に入れたが、技術的な約束を守れるかどうかは、まだ見ぬ将来が握っている。
Sources
- Writer: The future of enterprise work
- via TechCrunch: Generative AI startup Writer raises $200M at a $1.9B valuation
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