
雑草の種子が航空工学の未来を変える:形状記憶合金と3Dプリンティングが実現した「変形する翼」の革新
現代の航空機は、ライト兄弟の時代から続く「ヒンジ(蝶番)」の呪縛に囚われている。離着陸時や旋回時、翼の一部であるフラップやエルロンが機械的に折れ曲がることで揚力を制御しているが、この不連続な形状変化は空気抵抗を生み、燃費 […]
別名: NiTi, SMA, 形状記憶合金
ニッケルとチタンの合金で、特定の温度(変態点)で結晶構造が変化する性質を持つ。変形しても加熱により元の形状に戻る「形状記憶効果」と、大きな変形を許容する「超弾性」を併せ持ち、医療機器や航空宇宙分野で利用される。
Ti–Ni形状記憶合金(ニチノール)は工業製品や医療機器 などに幅広く安全に利用されているほぼ唯一の実用形状記憶 合金である。ところが近年,純ニッケルの生体アレルギー性 が指摘されていることから,医療分野ではニッケルを始めと した有害元素を含んでいない新たな生体用形状記憶合金が求 められている。チタン基合金は生体適合性に優れ,すでに医 療用金属材料としての十分な実績もあることから,医療用形 状記憶合金として現在研究開発が盛んに行われている。 チタン基合金における形状記憶効果は,1971年にBaker1) によりTi–35 mass% Nb(Ti–22 at% Nb)において初めて報告さ れた。以後,Ti–V–Fe–Al合金 2)やTi–Mo–Al合金 3),Ti–V–Al 合金 4)などの構造材料でも形状記憶効果が報告されている。 通常は形状記憶合金を医療用途に用いる場合,形状記憶効果 よりも超弾性を用いる。チタン基合金において室温での超弾 性は2000年にβ -CEZ(Ti–4Mo–4.4Zr–4.9Al–2Sn–1Fe(mass%)) 合金 5)で報告されたが,この合金は形状記憶・超弾性を意 図して開発されたものではなく,あまりよい特性は得られて いない。その後の数年間で,前述のような理由から医療用の チタン基形状記憶・超弾性合金の研究開発がTi–Nb系やTi– Mo系を中心に急進展した。 チタン基合金の形状記憶効果と超弾性は,母相であるβ 相(体心立方晶)からα′′相(斜方晶)へのマルテンサイト 変態とその逆変態に起因している(図1)。マルテンサイト 変態温度は添加元素の種類や濃度によって自由に調節するこ とが可能であり,Ti–Nb二元合金の場合はTi–(26~27)at% Nbにおいて室温で超弾性を示す 6)。しかし,その形状回復 ひずみは 2~3%程度であり,既存の多結晶Ti–Ni超弾性合 金(6%)の半分以下しかない。この理由としてチタン基形 状記憶合金では,(1)格子変形ひずみが小さいことと,(2) すべり臨界応力(σs)が低いことが挙げられる。格子変形ひ ずみとは母相とマルテンサイト相の間にある格子対応関係と 両相の格子定数から決まるひずみ量であり,マルテンサイト 変態に伴って発生するひずみの理論上の最大値である。Ti–Nb 二元合金ではこの格子変形ひずみがそもそも小さいため 6), Ti–Ni合金のような大きな形状回復ひずみが得られない。し かし最近の研究では,Ti–Nb合金においてマルテンサイト 変態温度を一定に保ちながらニオブをジルコニウムで置換し て添加することにより,超弾性を保持したまま格子変形ひず みが増大することがわかっており7),8),この問題点は克服さ れつつある。 一方,σsが低いと,マルテンサイトが応力誘起する前に不 可逆変形である塑性変形が導入されてしまうため,十分な形 状回復ひずみが得られない。また,塑性変形によって導入さ 解 説
形状記憶合金であるTiNi合金中のニッケルを精密に定量する方法としてイオン交換分離/電解重量法を検討した.硝フッ化水素酸酸性とした試料溶液から,陽イオン交換によってニッケルをチタンから分離した後,アンモニアアルカリ性として定電流でニッケルを電解した.実用材料に含まれる程度のマンガン,クロム,鉄などの不純物は定量値に影響しないことを確認した.定量精度は相対標準偏差で0.009%であった.