Intelが、2024年9月に予定していた年次開発者向けイベント「Intel Innovation 2024」を2025年に延期すると発表した。この予期せぬ決定は、同社が直面している財務的課題に対応するための施策の一環とのことだ。
2024年は小規模な製品発表イベントを行う可能性
Intel Innovationは、かつての伝説的なIntel Developer Forum (IDF)の後継イベントとして位置付けられ、同社の技術革新を紹介し、新製品を発表する重要な場となっていた。2024年のイベントは特に注目を集めていた。次世代プロセッサー「Core Ultra “Arrow Lake”」のモバイルおよびデスクトップ向け製品のローンチが予定されており、さらにXeon 6サーバープロセッサーやGaudi 3 AI アクセラレーターの紹介も期待されていた。加えて、同社のファウンドリービジネスに関する最新情報、特にIntel 20AおよびIntel 18Aノードについての進捗報告も予定されていた。
延期の背景には、Intelの厳しい財務状況がある。同社は2024年度末までに100億ドルのコスト削減を目指しており、この目標は2025年半ばまでに成果を出すことを見込んでいる。大規模なイベント開催を控えることで、コスト削減への取り組みに対する真摯な姿勢を示す狙いがあると見られる。Intelの広報担当者は、「持続可能なプロセス技術のリーダーシップを再構築するための基盤を評価し続ける中で、いくつかの困難な決定を下さなければならない」と述べている。
しかし、イベントの延期が主要製品の発表スケジュールに与える影響については不透明な部分が残されている。特に、Intel 20Aプロセスノードの主力製品となる「Arrow Lake」プロセッサーは、RibbonFETとPowerVia BSPDNを実装した初のノードを使用する製品であり、その発表は同社にとって重要な節目となる。Intelは、これらの製品発表を小規模なメディアプレゼンテーションで行う可能性を示唆している。
Innovation 2024の代替として、Intelは2024年中に小規模でターゲットを絞ったイベント、ウェビナー、ハッカソン、ミートアップなどを世界中で開催する予定であることを明らかにした。また、開発者向けのリソースとして、オンラインプラットフォームの活用を推奨している。具体的には、9月にドイツで開催されるIFAにて「Lunar Lake」プロセッサーを発表する計画を既に発表している。
この決定は、Intelが直面している財務的課題を反映しているとともに、同社がプロセス技術のリーダーシップを再構築するための持続可能な基盤を確立しようとしていることを示している。しかし、自社主催のイベントがもたらす大規模な舞台と既存の聴衆を失うことは、ソフトウェア開発者コミュニティとの関係構築にも影響を与える可能性がある。
今後、Intelがどのように製品戦略を展開し、財務状況の改善を図っていくかが注目される。特に、「Arrow Lake」や「Lunar Lake」といった次世代プロセッサーの発表方法と、それらが市場にもたらすインパクトが、同社の今後の方向性を占う重要な指標となるだろう。
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