最新のソフトウェアサポートアップデートから、元々はエッジコンピューティングとネットワーク用途に設計されたIntelの「Bartlett Lake-S」アーキテクチャが、ゲーマー向けの高性能CPUとして登場する可能性が高まっている。特に注目すべきは、効率重視のEコアを完全に排除し、12個の高性能Pコアのみを搭載した構成の可能性だ。
AIDA64ベータからの強力な証拠
人気の診断ユーティリティAIDA64がバージョン7.65.7404ベータをリリースし、その更新履歴に「Intel Bartlett Lake-S CPUのサポート改善」が明記された。これは通常、消費者向け製品の発売準備が進行中であることを示す重要な兆候である。さらに注目すべきは、MSI関連のオーバークロッカーであるToppcが、このAIDA64の更新ログをハイライトしながらNDA(機密保持契約)下の未発表情報に言及したことだ。
このパターンは歴史的に見て、消費者向け製品のローンチに先立って発生することが多く、Bartlett Lake-Sの用途拡大を強く示唆している。同時に、AIDは低消費電力モバイルCPU「Wildcat Lake」の初期サポートも追加しており、Intelが製品ラインナップの拡大を進めていることを示している。
AIDA64 7.65.7404 beta (Apr 13, 2025) リリースノート:
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Intel Wildcat Lake CPUの初期サポート
Intel Bartlett Lake-S CPUのサポート改善
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ゲーマーにとっての潜在的メリット
Bartlett Lake-Sがゲーマー向けに登場するとすれば、それは現在のハイブリッドアーキテクチャに起因する問題を解決する可能性がある。現行のフラッグシップCore 7 251E(8P+16E構成)とは異なり、純粋なPコアのみの実装は、レイテンシに敏感なゲームにおいてフレームタイミングに影響を与えるWindowsスケジューラの複雑さを排除できる。
現在のハイブリッドデザインでは、ゲームエンジンが異種コア間で複雑なスレッドスケジューリングを行わなければならず、パフォーマンスクリティカルなスレッドが負荷の高いシーンでEコアに移行することがある。均一な12 Pコアアーキテクチャはこの問題を解消し、安定したスレッド割り当てを提供することで、CPU制約のあるタイトルでの99パーセンタイルフレームタイム変動(体感的な滑らかさに影響)を軽減できる可能性がある。
プラットフォーム互換性と市場展開
Bartlett Lake-SはLGA 1851プラットフォームとの互換性を活かし、既存の800シリーズマザーボードオーナーにとってのドロップイン(差し替えるだけの)アップグレードを可能にすると予想される。これはユーザーにとって大きなメリットとなるだろう。
しかし、VideoCardZの情報によると、Bartlett Lake-SはIntelの公式スライドでLGA1700プラットフォームとの後方互換性を持つと記載されている。このプラットフォームは600および700シリーズマザーボードで使用されているものだ。この矛盾点については、さらなる公式情報を待つ必要がある。
Intelは特に、AMDがAM4プラットフォーム向けに新しいSKUを提供し続けている(すでに9年目に入っている)ことから、このプラットフォーム向けに新製品をリリースするプレッシャーを感じている可能性がある。Intelは通常3〜4年ごとに新しいプラットフォームに移行するため、この長期サポートはIntelにとって重要な戦略的決断となるだろう。
Bartlett Lake-Sの現行仕様と展望
現在公開されているBartlett Lake-Sの仕様は以下の通りだ:
プロセッサ | コア/スレッド | P-コア/E-コア | P-コア(ベース/ブースト) | TDP |
---|---|---|---|---|
Core 7 251E | 24C/32T | 8 + 16 | 2.1 GHz / 5.6 GHz | 65W |
Core 5 211E | 10C/16T | 6 + 4 | 2.7 GHz / 4.9 GHz | 65W |
Core 3 201E | 4C/8T | 4 + 0 | 3.6 GHz / 4.8 GHz | 65W |
注目すべきは、すでに低価格帯のCore 3 201EモデルではEコアを搭載していない点だ。これは、より上位のモデルでもPコアのみの構成が技術的に可能であることを示している。
噂されている12 Pコア構成のゲーミング向けCPUは、シングルスレッドパフォーマンスの一貫性と決定論的なコア動作が利点となるアプリケーションを特にターゲットとしており、Intelがハイブリッドアーキテクチャに移行して以来、十分にサービスされていなかった市場セグメントに対応することになるだろう。
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