Intelが次世代CPU「Arrow Lake」の製造をTSMC(台湾積体電路製造)により多く委託する方針を固めた。自社製造部門の期待を下回るパフォーマンスを補完し、AMD・NVIDIAとの競争力を維持する狙いがある。
製造委託拡大の詳細
TSMCの最先端3nmプロセスを採用するArrow Lake(Core Ultra 200シリーズ)は、Intelにとって初めての大規模な製造委託となる。これまで自社工場での製造にこだわってきたIntelだが、製造技術の微細化における課題に直面し、外部委託へと軸足を移している。
革新的なチップ設計アプローチ
Arrow Lakeでは、従来の単一チップ設計から大きく転換し、複数の小規模チップを組み合わせるアプローチを採用。Intel独自の3D Foveros技術を用いて、これらの小チップを単一のシリコン基板上に3次元実装している。この設計変更により、性能と効率性の両立を図っている。
Arrow LakeはTSMCの3nmプロセスが採用されている。これによる具体的な改善点は以下の通りである:
- チップ面積の劇的な削減:同じ8P+16Eの核心配置でありながら、演算コア(Compute Tile)の占有面積を従来の70%から約33%まで削減
- 追加機能の実装:縮小された面積を活用し、NPU(Neural Processing Unit)を新たに搭載
- 電力効率の改善:パッケージ全体の消費電力を100W以上削減しつつ、高クロック周波数を維持
製造能力の確保
当初Intel 20Aノードでの製造を予定していたArrow Lakeだが、戦略を変更しTSMCの3nmプロセスへと移行。これにより、短期的な製品競争力を確保しつつ、将来的には自社の18Aノードでの製造も視野に入れている。ただし、TSMCの製造キャパシティ確保には、Apple、NVIDIA、Qualcomm、AMDといった既存の大口顧客との競合という新たな課題も浮上している。
戦略転換の背景
この決定の背景には、Intelの厳しい経営状況がある。2023年第3四半期には過去最大となる166億ドルの損失を計上。データセンターやAI市場での苦戦が続くなか、製品競争力の維持が急務となっている。
さらに、Arrow Lakeに続くLunar Lake、次世代AI GPU「Falcon Shores」もTSMCの3nmプロセスでの製造を予定。Intelの製造戦略は、明確にTSMCへの依存を深める方向へと舵を切っている。
Panther LakeはIntel 18Aでの製造が予定されており、現在開発は順調に進んでいると報告されているが、これまでにも同社は進捗について順調と報告してきた中での現状である事から、実際に製品が発売されるまでは不透明な状態が続くことだろう。
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