米国労働統計局のデータに基づいた新たな分析では、米国のIT雇用市場は、2025年1月に回復の兆しを見せているという。ITサービスとソフトウェア開発分野での採用増が顕著で、AI関連の求人も増加傾向であることが明らかになった。しかし、職種の再分類や大企業の生産性向上施策により、一部では雇用の減少も見られる。
ITサービス・ソフトウェア開発分野で雇用増
CompTIAの分析によると、2025年1月、米国のテクノロジー企業は6,787人の雇用を純増させた。特にITサービスとソフトウェア開発分野での採用が活発で、13,700人の増加を記録。一方で、通信分野では7,900人の減少が見られた。
Janco Associatesの分析では、米国労働統計局(BLS)がいくつかの職種を再分類したことで、2024年11月と12月のIT雇用者数が下方修正された。しかし、Janco Associatesは「多くのCEOがCFOとCIOにITプロフェッショナルの採用を許可した」と述べ、IT雇用が現在上昇傾向にあることを強調している。
求人増加、UI/UXデザイナーやデータサイエンティストの需要増
CompTIAのレポートによると、2025年1月にはテクノロジー関連の新規求人リストが51,756件増加し、合計220,000件以上に達した。アクティブな求人総数は476,000件を超えている。
求人増加は全米で広く見られ、特にカリフォルニア州(+9,834)、テキサス州(+4,256)、イリノイ州(+3,476)などで顕著だった。都市別では、サンノゼ、サンフランシスコ、ニューヨーク市、シカゴ、ダラスなどで求人が大幅に増加した。
職種別では、UI/UXデザイナー(+54%)、データサイエンティスト(+52%)、データアナリスト(+47%)などの需要が急増。テクニカルサポートスペシャリスト(+38%)やシステムアナリスト(+38%)も需要が高かった。
AI関連求人が増加、大企業は生産性向上に注力
2025年1月、AI関連の求人またはAIスキルを必要とする求人は約40,000件に達し、2024年12月から約1,500件増加した。特にサンノゼ、サンフランシスコ、シアトル、ニューヨーク市、ボストン、ワシントンD.C.でAI関連の求人が多かった。
Janco AssociatesのCEO、Victor Janulaitis氏は、「AI、セキュリティプロフェッショナル、新しいテクノロジープログラマー、インターネット処理のITプロフェッショナルの需要が引き続き高い」と述べている。Janco Associatesは、AIが自動化を推進し、エントリーレベルのITポジションの需要を減少させると予想している。
また、Janulaitis氏は、「雇用と雇用の増加は中小企業で続いている」と指摘。「大企業の多くは、生産性の向上と、AIアプリケーションによる低レベルスキルの代替に引き続き注力している」と述べている。
失業率は二極化?JancoとCompTIAの分析
失業率については、JancoとCompTIAで数値が異なる状況である。Jancoは1月のITセクターの失業率を5.7%と報告しており、全国平均の4%よりも高い水準となっている。さらに、1月には54,000人増の152,000人のITプロフェッショナルが失業状態にあるとしている。
一方、CompTIAはテクノロジー業界全体の1月の失業率を2.9%と報告しており、全国平均よりも低い水準である。ただし、CompTIAのデータでも、テクノロジー業界の失業率は前月から上昇している。
この相違について、JancoはBLSの職種再分類に加えて、Elon Musk氏の政府効率化局(DOGE)による政府機関の効率化と人員削減の影響を指摘している。Janulaitis氏は「DOGEイニシアチブの影響はまだ感じられていない」としつつも、経済の不確実性がIT採用に悪影響を与えていると分析している。
AIが変えるIT業界の雇用構造
Jancoは、AIがIT業界の雇用構造に変化をもたらすと予測している。Janulaitis氏は「今後数ヶ月でAIが定型業務を自動化するにつれて、エントリーレベルのIT職の需要が減少する」との見方を示している。
また、Jancoのレポートでは、雇用と職種成長は中小企業で継続しており、大企業は生産性向上とAIによる基礎的スキルの代替に注力していると指摘している。
CompTIAもAI関連の職種に注目しており、1月には人工知能(AI)またはAIスキルを必要とする職種の求人掲載が約40,000件あった。AI関連求人が多かった地域は、サンノゼ、サンフランシスコ、シアトル、ニューヨーク市、ボストン、ワシントンD.C.である。
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