Intelの次世代デスクトップCPU、Arrow Lake-Sこと「Core Ultra 200K」シリーズの一部モデルについて、ベンチマークテスト結果がリークされた。今回明らかになったのは、ミドルとエントリーのCore Ultra 7 265KFとCore Ultra 5 245Kの2モデルである。これらのプロセッサは、2024年第4四半期に発売される見込みで、現行世代を大きく上回る性能を示している。
Core Ultra 7 265KFとCore Ultra 5 245Kが驚異的な性能を示す
Core Ultra 7 265KFは、IntelのArrow Lake世代を代表する高性能プロセッサの一つとして位置付けられている。このCPUは、8つのLion Cove Pコアと12個のSkymont Eコアを組み合わせた20コア/20スレッド構成を採用している。注目すべきは、このシリーズではハイパースレッディングが廃止され、コア数とスレッド数が同一になっている点だ。最大クロック周波数は5.5 GHzに達し、33 MBの大容量L3キャッシュを搭載している。
Geekbench 6ベンチマークにおいて、Core Ultra 7 265KFはシングルコア・スコア3219ポイント、マルチコア・スコア19433ポイントを記録した。この結果は、現行のCore i9-14900Kを上回るシングルコア・スコアを示すとともに、マルチコア・スコアではAMD Ryzen 9 7950Xに迫る性能を発揮している。特に、前世代のCore i7-14700Kと比較すると、シングルコアテストで9.3%、マルチコアテストで1%の性能向上を達成している。
CPU | シングルコア・スコア | マルチコア・スコア |
---|---|---|
AMD Ryzen 7 9700X | 3373 | 16817 |
Intel Core Ultra 7 265KF | 3219 | 19433 |
Intel Core i9-14900K | 3089 | 20763 |
Intel Core i7-14700K | 2945 | 19219 |
AMD Ryzen 9 7950X | 2941 | 19277 |
AMD Ryzen 9 7900X | 2925 | 18032 |
一方、Core Ultra 5 245Kは、6つのLion Cove Pコアと8つのSkymont Eコアを持つ14コア/14スレッドプロセッサである。基本クロックは4.2 GHz、ブーストクロックは最大5.2 GHzで動作し、24 MBのL3キャッシュを搭載している。このモデルは、Geekbench 5ベンチマークでシングルコア・スコア2248ポイント、マルチコア・スコア18354ポイントを記録した。
CPU | シングルコア・スコア | マルチコア・スコア |
---|---|---|
AMD Ryzen 7 9700X | 2507 | 14613 |
Intel Core i9-14900K | 2369 | 25199 |
AMD Ryzen 9 7900X | 2294 | 20667 |
Intel Core i9-13900K | 2286 | 24033 |
Intel Core Ultra 7 265KF | 2248 | 18345 |
AMD Ryzen 7 7700X | 2218 | 14131 |
Intel Core i7-14700K | 2121 | 23159 |
Intel Core i7-13700K | 2110 | 20190 |
Intel Core i5-14600K | 2017 | 17516 |
Intel Core i5-13600K | 1973 | 16670 |
特筆すべきは、Core Ultra 5 245Kが前世代のCore i5-14600Kと比較して、マルチコア・スコアで18.1%もの大幅な向上を見せている点である。さらに、シングルコア・スコアにおいては、わずか2%の向上にとどまっているものの、これはエンジニアリングサンプルの不安定な動作が原因と考えられる。実際、テスト中のクロック周波数は4.9 GHzから5.2 GHzの間で変動していたことが報告されている。
これらの新型プロセッサは、LGA 1851ソケットを採用しており、Z890チップセットを搭載した最新のマザーボードと互換性がある。具体的には、GigabyteのZ890 AERO GやColorfulのiGame Z890 Ultraなどのマザーボードでテストが行われている。
IntelのCore Ultraシリーズは、デスクトップPC市場での競争力強化を図る重要な製品ラインとなることが予想される。特に、AMDの最新Ryzen 9000 “Zen 5” CPUとの激しい競争が予想される中、ユーザーにとっては選択肢が広がり、高性能プロセッサの価格競争も期待される。特にZen 5が前評判とは裏腹に発売後に低評価を受けている現状を鑑みれば、Arrow Lakeの性能に期待が集まることも無理からぬことだろう。
ただし、これらのベンチマーク結果はあくまでもリークされた情報に基づくものであり、正式リリース時には更なる性能向上が期待できる。また、ベンチマークの設定や使用されたメモリの速度、電力制限の設定など、詳細な条件が不明な点も多い。そのため、これらの比較結果は参考程度に留めるべきだろう。
Sources
- Geekbench Browser:
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