メーカーが減産を計画していることから、DRAMやNANDフラッシュの価格が上昇する懸念が何度か伝えられたが、結果としてその兆しは見られず、むしろ今後下落する可能性もありそうだ。
DRAM価格は継続的に下がっている
TrendForceの最新のレポートによるとDRAMおよびNANDフラッシュのスポット価格は短期的には回復の兆しがほとんど見られないとのことだ。
DRAMに関しては、まず第一の要因として、市場に十分な在庫がある事が挙げられる。消費者向け製品市場も弱く、ハードウェアメーカーはすでに抱えている在庫以上のメモリを必要としないため、スポット市場での購入が減少しているのだ。
加えて、中国市場において5月末以来密輸取り締まりが強化されたことも要因として挙げられている。中国では、リボールDRAMと呼ばれる、DRAMチップの裏側にあるはんだボールを交換して修理したリファービッシュ品が出回っているが、これの取り締まりが強化されたことで、需要が低下し、DRAM価格に影響を与えているようだ。
5月末以来、DDR4 1Gx8 2666MT/sチップの平均スポット価格は2.54%減少し、先週の1.881ドルから1.835ドルに下落しているという。
NANDフラッシュも回復の兆しが見えず
NANDフラッシュの価格も回復の兆しはないようだ。これも需要の弱さが原因と分析されている。
SSDメーカーによるNANDフラッシュの在庫水準が十分であるため、メーカーが妥協して価格引き下げを提示しているにもかかわらず取引が低調のようだ。これにより、スポット価格と契約価格の間に継続的な乖離が生じている。また、2024年第3四半期に在庫補充の需要が見られるかどうかについて不確実性がある。特に、512Gb 3D TLC NANDウェハのスポット価格は今週0.57%下落し、3.309ドルに達したようだ。
今秋にはKioxiaがシェアの拡大を目指して減産を解除して生産をフル稼働にすることを発表しており、今後のNANDの価格に大きな影響を与える可能性がありそうだ。
市場動向と政府の取り締まりなどの外部圧力により、短期的には価格の回復は期待できないとTrendForceは予測している。
Source
コメント