現代のAI半導体を支えるNVIDIA、TSMC、SK hynixの「三角同盟」は、次世代高帯域幅メモリ(HBM)と先端GPUの開発を加速させるため、協力関係の強化を目指しているようだ。台湾で9月に開催される「SMICON Taiwan」において、三社が協業の強化について議論する予定である事が韓国メディアによって伝えられている。
SEMICON Taiwanで注目される戦略的提携
SEMICON Taiwanは、半導体業界における最も重要なイベントの一つとして知られている。今年のイベントでは、SK hynixのKim Joo-sun社長がCEOサミットで基調講演を行う予定であり、これはSK hynixにとって同イベントで初めての重要な役割となる。
この講演に続いて、Kim社長はTSMCの幹部陣と次世代HBM協力計画について協議を行う見込みだ。さらに、NVIDIAのCEO Jensen Huang氏を交えた円卓会議の可能性も示唆されている。ただし、業界関係者の話では、NVIDIAの参加については現時点で確定していないため変更される可能性もあると言う。
3社の提携の焦点は、2026年から量産が開始される予定の「HBM4(第6世代)」シリーズの共同設計と生産にある。SK hynixとTSMCはすでに一部の製品について協力することで合意しており、この提携にNVIDIAが加わることで、AIチップ市場における競争力が一層強化されると期待されている。
SK hynixは「マルチファンクションHBM」の実装を目指しており、メモリと論理半導体を単一のパッケージに統合する革新的なアプローチを検討している。この方式では、従来のパッケージング技術が不要となり、個々のダイがより密接に配置されることで、性能効率が大幅に向上する可能性がある。
この戦略的提携により、SK hynixが半導体を、TSMCが製造を、そしてNVIDIAが製品設計を担当することで、革新的な最終製品の実現を目指している。業界では、この提携による成果が2026年頃に量産準備が整うと予想されており、NVIDIAの次世代Rubinアーキテクチャの登場時期とも一致する。
この「三角同盟」の強化は、AI市場における競争が激化する中で、3社が市場シェアを確保し、技術革新をリードしようとする明確な意図を示している。今後のSEMICON Taiwanでの発表が、AIアクセラレータの将来を方向づける重要な転換点となる可能性となり、業界の注目を集めそうだ。
Sources
コメント