AMDの次世代フラッグシップCPU「Ryzen 9 9950X」の新たなベンチマークテスト結果がリークされ、その驚異的な性能向上を更に明らかにしている。これまでにもベンチマークテスト結果はいくつか到着していたが、今回は電力制限が解除され、その本来の実力に極めて近い結果を提示する物だ。Zen 5アーキテクチャを採用したこの新型プロセッサは、前世代モデルを大きく上回る性能と効率性を実現しているが、特に高負荷タスクにおいて圧倒的な優位性を示しており、ユーザーの購買意欲を刺激するのに十分な好材料を提供する物だ。
Blenderベンチマークが明らかにする「Zen 5」の驚異的な性能向上
AnandTechフォーラムのユーザー、Igor_Kavinskiは、60Wから230Wまでの幅広い電力設定でテストされたBlenderベンチマークの結果を入手したとして、これを公開している。一連のベンチマーク結果は、Ryzen 9 9950Xの真価を如実に示すもので、新型Zen 5プロセッサが前世代モデルを大きく上回る性能を発揮することが明らかになっている。なお、これらのテストは水冷セットアップで実行されている点は申し添えておこう。
以下の表は、Ryzen 9 9950XとRyzen 9 7950Xの230W設定でのBlenderベンチマークスコアを比較したものだ：
| Ryzen 9 9950X (230W) | Ryzen 9 7950X (230W) | 性能向上率 | |
|---|---|---|---|
| Blender “Monster” | 353.4 | 297.3 | 18.9% |
| Blender “Junkshop” | 226.1 | 180.2 | 25.5% |
| Blender “Classroom” | 171.3 | 139.9 | 22.4% |
この結果から、Ryzen 9 9950Xが全てのテスト項目で約20%以上の性能向上を達成していることが分かる。特に「Junkshop」テストでは25.5%もの大幅な改善が見られる。
さらに注目すべきは、Ryzen 9 9950Xの電力効率である。160W設定時のパフォーマンスを見てみよう：
| Ryzen 9 9950X (160W) | Ryzen 9 7950X (170W) | 性能向上率 | |
|---|---|---|---|
| Blender “Monster” | 319.7 | 289.7 | 10.3% |
| Blender “Junkshop” | 205.8 | 172.8 | 19.1% |
| Blender “Classroom” | 152.5 | 136.7 | 11.5% |
| 総合ベンチマークスコア | 678 | 599.2 | 13.1% |
この比較から、Ryzen 9 9950Xが10W低い電力設定でありながら、約10%以上高い性能を発揮していることが分かる。これは、Zen 5アーキテクチャが単に高性能なだけでなく、優れた電力効率も実現していることを示している。
加えて、60Wから120Wまでの設定時のスコアは以下の通りだ。どれも性能も興味深い結果を示している。
| Ryzen 9 9950X (60W) | Ryzen 9 9950X (90W) | Ryzen 9 9950X (120W) | |
|---|---|---|---|
| Blender “Monster” | 153.2 | 227.5 | 268.7 |
| Blender “Junkshop” | 101.8 | 150.6 | 177.5 |
| Blender “Classroom” | 72.7 | 108.8 | 129.8 |
| 総合ベンチマークスコア | 327.7 | 486.9 | 576 |
120W設定では、Ryzen 9 9950Xは576ポイントを記録している。これは、170W設定のRyzen 9 7950X（599.2点）とほぼ同等の性能である。つまり、50W低い電力消費で、前世代モデルに匹敵する性能を発揮しているのだ。
さらに、テストに使用されたのがエンジニアリングサンプル（ES）であることを考慮する必要がある。ESは通常、最終製品よりもクロック周波数が低く設定されている。今回のテストでは、ESの最大ブースト周波数が5.62GHzだったのに対し、AMDが公表している正式なターボクロックは5.7GHzである。つまり、製品版ではさらなる性能向上が期待できるのだ。加えて、このハイパフォーマンスにもかかわらず、温度が62度を超えることはなかったとのことだ。
Ryzen 9 9950Xの優れた性能は、3Dモデリング、アニメーション、レンダリング、ビデオ編集など、高負荷のクリエイティブ作業を行うユーザーにとって特に魅力的だ。同時に、その卓越した電力効率は、ノートPC向けのZen 5チップにも大きな期待を抱かせる。
AMDは7月31日にRyzen 9000シリーズを発売する物と見られている。価格については公式発表はまだないが、Ryzen 9 7950Xの発売時とほぼ同等、もしくはやや低めになるという噂もある。
また、Intelとの比較も興味深い結果を示している。一部の報告によると、Ryzen 9 9950Xは230W設定でIntel Core i9-14900Kを最大33.5%上回る性能を示したという。これは、AMDがハイエンドCPU市場でさらなる優位性を確立する可能性を示唆している。
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