次世代GeForce RTXシリーズの詳細情報が複数の信頼できる情報筋から明らかになった。フラッグシップモデルとなるRTX 5090の熱設計電力(TDP)は575W、RTX 5080は360Wとなる見込みで、前世代のRTX 40シリーズと比較して大幅な電力要件の引き上げが確認された。NVIDIAは1月6日のCESキーノートで正式発表を予定している。
電力要件の詳細分析
次世代フラッグシップGPUの電力要件は、業界で最も信頼性の高いリーカーとして知られるkopite7kimiとhongxing2020の両氏によって明らかにされた。RTX 5090の575WというTDP値は、前世代のRTX 4090から125Wの増加となる。この増分は単純な数値以上に重要な意味を持っており、GPUの性能向上における電力効率の課題を浮き彫りにしている。
注目すべきは電力配分の詳細だ。RTX 5090の場合、GB202-300-A1 GPUダイ自体が575Wを消費し、これに加えてGDDR7メモリと他の基板コンポーネントのために25Wが割り当てられる。この電力配分は、12VHPWR電源コネクタの供給能力である600Wに迫る数値となっている。実際の運用では、マザーボードのPCI Expressスロットから供給される75Wも加算されるため、理論上の最大供給電力は675Wとなる。
一方、RTX 5080については、GB203-400-A1チップが360Wを消費し、GDDR7メモリと周辺コンポーネントのために40Wが追加で必要となる。興味深いことに、RTX 5080のメモリ関連の電力要件がRTX 5090よりも高くなっている点だ。これは、RTX 5080のGDDR7メモリが30Gbpsで動作するのに対し、RTX 5090では28Gbpsでの動作となっていることが要因とされている。
技術的背景と仕様詳細
BlackwellアーキテクチャベースのRTX 5000シリーズは、TSMCの4NPプロセスで製造される。このプロセスは、前世代のAda Lovelaceで採用された4Nプロセスの改良版という位置づけである。4NPプロセスは、トランジスタ密度において4Nから約30%の向上を実現しているものの、完全な世代交代と呼べるほどの進化ではないとされている。
フラッグシップモデルとなるRTX 5090の心臓部、GB202-300-A1ダイは21,760基のCUDAコアを搭載し、これらは170個のストリーミングマルチプロセッサ(SM)に分配される。メモリ構成は32GBのGDDR7を採用し、512ビットのメモリインターフェースを介して接続される。
一方、RTX 5080はGB203-400-A1チップを採用し、10,752基のCUDAコア(84 SM)を実装。16GBのGDDR7メモリを256ビットバス幅で接続する構成となっている。特筆すべきは、RTX 5080のメモリ速度が30Gbpsと、上位モデルを上回る点である。これは第一世代のGDDR7メモリの特性による制約であり、高速動作には追加の電力が必要となる。NVIDIAの説明によると、将来的なGDDR7メモリの改良により、より少ない電力消費で高速動作が可能になると期待されている。
このように、製造プロセスの漸進的な進化とメモリ技術の制約が、次世代GPUの電力要件を押し上げる主要因となっている。NVIDIAは性能向上を追求する一方で、電力効率との微妙なバランスを取ることを迫られている状況だと言える。
Xenospectrum’s Take
この電力要件の急激な上昇は、半導体製造プロセスの進化が減速期に入っていることを如実に物語るものだろう。NVIDIAは性能向上を追求するため、より多くの電力を投入せざるを得ない状況に追い込まれているわけだ。
特に興味深いのは、12VHPWR電源コネクタの600W上限に近づきつつある点だ。PCI Expressスロットからの75Wを加えても、675Wが理論上限となる。つまり、次世代以降のGPUでは新たな電源供給方式が必要となる可能性が高い。一般ユーザーにとっては、1000W以上の電源ユニットが必須となり、システム全体のコストが更に上昇することは避けられないだろう。
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