先日Samsungは、その四半期決算発表の壇上で、既にあるAI企業から2nm世代のチップ開発について受注を獲得していることを明らかにしていたが、どうやらこのとあるAI企業というのが、日本のPreferred Networks(PFN)である事が判明した。
PFNの独自設計AIアクセラレータの製造を受託
報道では、PFNがAIアクセラレータ等のAI向け半導体の生産に、TSMCではなく業界2位のSamsungを選択した理由について、Samsungがこれまで積み重ねてきたチップ生産ノウハウと豊富な資本力などを信頼したためと分析しているが、これについてはTSMCも同様の条件であると思われるため、実際のところ決定的な要因については不明だ。
PFNは、2014年に設立され、AIディープラーニング(深層学習)開発分野で評価が高い。トヨタ、NTT、ファナックなどさまざまな業種の主要企業が大規模な投資を行っており、企業価値は4,000億円を超えると言われる。
PFNはIoTアプリケーション向けのディープラーニングの研究開発に特化している。また同社は、カスタム・ソフトウェアの開発や様々な顧客へのスーパーコンピューターの供給におけるリソースと専門知識を有している。
一方、Samsungは、長年TSMCの後塵を拝してきたファウンドリー事業にようやく弾みをつけることができる。さらに報道では、PFNとの提携はSamsungにとって複数のゲートウェイを開くことになり、2nmチップの顧客獲得に乗り出すことができるとしている。PFNはNVIDIAやIntelとも提携しているとされ、Samsungにとって強力な味方となる。
また、Samsungが次世代ノードの最初の顧客を誘致するために、PFNに2nmウェハーの魅力的な割引を提供した可能性も十分にある。同社は以前、ライバルのTSMCとの市場シェア差を縮めるため、この戦略を検討したとも報じられていた。
ただし、Samsungは現行の3nm GAAプロセスにおいて、他社に先駆けてこれを量産開始したが、歩留まり問題に悩まされていたことも報じられている。この点でもTSMCは優れたパフォーマンスを示していると言われており、それ故に最先端技術を高価格で販売する事ができ、高い収益を確保している。SamsungがTSMCに対抗するためには、まずはそこもクリアする必要があるだろう。
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