Samsung独自のExynosチップはしばらく冬の時代を迎えた後、今年発売のGalaxy S24シリーズで搭載された「Exynos 2400」で評判を取り戻した。とは言え、それは前モデルに比べて優れていると言うものであり、Android向けAPでトップを走るQualcommのSnapdragonと比較した場合まだまだ劣勢である事には変わりがない。だが次期Exynos 2500ではこの状況が変わる可能性があるようだ。
3nm GAAチップで巻き返しを図る
業界関係者の話を引用したBusiness Koreaの報道によれば、Samsung Electronicsは次期Galaxy S25シリーズにおいて、独自開発の「Exynos 2500」を搭載する計画だが、このExynos 2500が競合のQualcommが開発しているSnapdragon 8 Gen 4を上回る可能性があり、一部の噂ではあるが、社内テストではSnapdragon 8 Gen 3比で46%の性能向上が見られた事も報告されている。。
Samsungの第2世代3nmプロセス「SF3」はGate All Around(GAA)と呼ばれる新しいトランジスタ構造を用いている。この新構造はリーク電流を減らし、駆動電流を増加させ、電力効率を向上させ、発熱を抑えるというメリットがある。これに対し、Appleの新型iPad Proに搭載されているM4チップや、Qualcommの次期Snapdragon 8 Gen 4などで用いられるTSMCの第2世代3nmプロセスと言われる「N3E」プロセスでは、旧来のFinFET構造が採用されている。
Exynos 2500は、このSamsung Foundryの「SF3」プロセスで製造されるようだ。Samsungはこの3nmチップの製造に関し、世界的な電子設計自動化(EDA)企業であるSynopsysと協力して3nmチップの電力効率を改善したと発表していた。この協力により、Samsungの3nm SoCは、CPUのピーク周波数を300MHz向上させ、ダイナミック消費電力を10%削減することに成功した事も伝えられている。そして大きいのが歩留まりの改善だ。Samsungの第1世代3nmプロセス「SF3E」は歩留まりに悩まされたと伝えられており、これが多くの企業から採用されなかった理由と言われている。
SamsungはGalaxy S22シリーズに自社製のExynos 2200プロセッサを採用したが、これは、オーバーヒートやパフォーマンスの低下という問題に悩まされ、その後Exynos 2300は登場せず、SamsungがGalaxy SシリーズすべてにQualcommのSnapdragon SoCを搭載する事態を招いた。2年ぶりに登場したExynos 2400は評判も良く、SamsungのExynosチップに対する信頼性を取り戻すことに繋がった。そしてExynos 2500では大きく飛躍する可能性もある。
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