SK hynixは、世界初となる321層4D NANDフラッシュメモリの量産を開始したことを発表した。1テラビットの記憶容量を持つこの新製品は、独自の「3プラグ」製造プロセスを採用し、2025年上半期から顧客への出荷を開始する予定である。
革新的な3プラグ技術で300層の壁を突破
SK hynixが採用した3プラグ(プラグ:何層もの基板を縦に貫通させ、一度にセルを作ることを目的とする)技術は、約100層ずつの3つのスタックを垂直に積層する方式を採用している。従来の製造方法では、100層を超えるとエッチング装置の信頼性が低下するという課題があった。同社は低ストレス材料への変更で反りを低減させることやプラグ間の自動位置補正技術を導入することで、この技術的課題を克服した。
特筆すべきは、サイドウェイソーステクノロジーと呼ばれる革新的なアプローチだ。これにより、プラグの位置ずれが発生しても、CTF(Charge Trap Flash)フィルムを損傷することなく、エッチングガスを効率的に供給することが可能となった。
性能と効率性の大幅な向上
前世代の238層NANDと比較して、新製品は著しい性能向上を実現している。データ転送速度が12%、読み取り性能が13%向上し、さらに読み取り時の電力効率も10%以上改善された。また、同じ開発プラットフォームを活用することで、生産性を59%向上させることにも成功している。
現在の業界状況を見ると、Samsungが280層で追随し、MicronとYMTCが232層、Kioxiaが218層という状況にある。特にSamsungは300層および400層NANDの開発を進めているが、「ダブルスタック」方式を採用する見込みであり、SK hynixの3プラグ方式とは異なるアプローチを取っている。
Xenospectrum’s Take
SK hynixの321層NANDは確かに技術的な偉業だが、層数競争の勝利が即ち市場での成功を意味するわけではない。WedbushのアナリストMatt Brysonが指摘するように、次世代NANDのビット性能においては、MicronやKioxia/WDの方が優位に立っているという見方もある。
AI時代における低電力・高性能ストレージの需要は確実に存在するが、真の勝者は単なる層数ではなく、信頼性、コスト効率、量産能力の総合力で決まるだろう。
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SK hynixが世界初の321層NANDフラッシュメモリの量産を開始。独自の3プラグ技術により300層の壁を突破し、性能向上と生産効率の改善を実現。2025年上半期から出荷開始予定。次世代メモリ市場の覇権争いが本格化。
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