2024年第2四半期のGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)市場が、予想外の成長を見せている。市場調査会社Jon Peddie Research(JPR)の最新四半期レポートによると、GPU出荷台数が前四半期比で1.8%増加し、総数は7000万台に達したとのことだ。この成長は、業界の通常のトレンドに反する異例の動きとして注目を集めている。
2024年第2四半期のGPU市場、予想を覆す成長
JPRのレポートによれば、2024年第2四半期のGPU出荷台数の増加は、過去10年間の平均傾向と大きく異なっている。通常、第2四半期は第1四半期と比較して出荷台数が減少する傾向にあり、過去10年間の平均では7%の減少が見られた。しかし、2024年第2四半期は1.8%の増加を記録し、業界関係者の予想を覆す結果となっている。
さらに注目すべきは、前年同期比で16%の成長を達成したことだ。この成長率の内訳を見ると、デスクトップ向けGPUが21%、ノートブック向けGPUが13%の増加を示している。JPRの社長であるJon Peddie博士は、この予想外の成長について次のようにコメントしている:「第2四半期の出荷台数の急増は、歓迎すべき驚きでした。市場は過去数年間、リズミカルな浮揚力を見出そうと揺れ動いています。貿易戦争、パンデミック、政治選挙、金利など、あらゆる混乱を考えると、いわゆる正常性を見るのはしばらく難しいでしょう」。
この市場の動向は、世界的な経済の不確実性や技術革新の加速など、複合的な要因が影響していると考えられる。特に、AIや機械学習の分野でのGPUの需要増加が、市場全体の成長を牽引している可能性が高い。
主要GPU企業の市場シェア変動
2024年第2四半期のGPU市場では、主要企業間のシェア争いにも注目すべき変化が見られた。特に、NVIDIAの躍進が顕著であり、同社の市場シェアは前四半期の18%から20%へと2ポイント増加した。この成長は、同社のGeForce RTX 4000シリーズGPUに対する堅調な需要に支えられている。
一方、AMDは0.2%の微増にとどまり、市場シェアをほぼ維持した。対照的に、Intelは2.1%のシェア減少を経験し、66%から64%へと後退した。出荷台数で見ると、AMDが3%増、NVIDIAが10%増となった一方、Intelは1.4%の減少を記録した。
JPRの報告によると、2024年から2026年にかけてのGPU市場は、年平均成長率(CAGR)4.2%で拡大し、この成長率が続けば、2026年末には累計出荷台数が33億台に達すると予測されている。また、今後5年間でPCにおけるディスクリートGPU(dGPU)の搭載率は23%に達する見込みだ。
半導体業界は、2024年第3四半期に7.6%の出荷台数増加を予測しており、これは前年同期の7.9%減少から大きく改善している。しかし、Jon Peddie博士が指摘するように、現在の市場の不確実性を考慮すると、正確な成長率の予測は困難である。
市場のボラティリティにもかかわらず、GPU業界は技術革新と需要の拡大により、着実な成長を続けている。特に、AIや機械学習、ゲーミング、クリエイティブ産業など、多岐にわたる分野での需要増加に支えられている。
NVIDIAの躍進は、同社のAI関連製品の強さを反映している可能性がある。一方、AMDは安定した成長を維持し、IntelはdGPU市場への参入を強化している。これら主要プレイヤーの戦略と、新たな技術トレンドが、今後のGPU市場の形成に大きな影響を与えると予想される。
今後のGPU市場の動向は、技術革新のペース、世界経済の状況、そして各企業の戦略によって大きく左右されるだろう。特に、AI技術の進化とそれに伴うGPUの需要増加が、市場全体の成長を牽引する主要因となることが予想される。
Source
- Jon Peddie Research: Quarterly GPU shipments were up 1.8%, seasonality not in sight
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